苦戦が予想されていたW杯初戦・コロンビア戦を2-1でモノにした日本。西野朗監督は監督交代から2カ月、初合宿から1カ月という短期間で、どのようにチームをまとめ上げたのか。その手法や信念を西野監督とともにアトランタ五輪で“マイアミの奇跡”を起こした田中誠(磐田)が語った。
愛情がありコミュニケーションのとれる監督
―アトランタ五輪代表時に西野朗監督から指導を受けた経験を踏まえて、指揮官としての西野さんにはどんな印象をもっていますか?
「真面目だけどユーモアがあります。初めのころは近寄りがたい雰囲気をもっている監督でした。僕はユース代表のころから西野さんの指導を受けていましたが、初めて会ったときは『イケメンだけど、ちょっと怖そうな人だな』という印象。ただ、言葉は少ないですけど、言っていることに重みと説得力があって、自分がやりたいサッカーをハッキリ言う人だなとも思いました。それを選手たちにも落とし込める指導者であると、当時から感じていました」
―いろいろな方が西野監督に対するイメージとして語るのが、「細かな戦術や型にハメる監督ではないけど、目の前にいる選手たちの能力を生かしてチームを作っていくタイプ」ということでした。
「そうですね。僕ら選手の能力に加えて、相手も分析して戦い方を作っていく監督です。もちろんミーティングも行いましたが、そこではそんなに細かい型について話すようなことはありませんでした。相手のストロング、ウイークポイントを把握した上で、どう戦うかという話が多かったですね。当時、僕らの五輪代表は本大会を迎える際に、攻めに出るのか守りに入るのかで意見が分かれました。そのころの日本は五輪に久しぶりに出場する立場でしたし、世界の中で格下という感じ。当然本大会(の初戦)で戦うブラジルは格上で、守備的に戦いたいというのが西野監督の決断でした。それをしっかりと説明して周囲の選手を納得させていきました」
―橋本英郎選手や田中マルクス闘莉王選手も話していましたが、西野監督のことを理解できる選手は、クレバーで個人戦術能力の高いタイプなのではないでしょうか。型に当てハメて戦わないぶん、ある程度自分自身でサッカーを考え、消化していかないといけないということでした。
「そうですね。型がないとプレーできないような選手は、西野監督の下では難しいかもしれません。普通、選手は監督の顔色を見るもの。でも僕らは顔色ではなくて、どういうサッカーをすれば評価されるか、ほかの選手のプレーをどう評価しているか、それを随時観察してきました。西野監督は間違いなく、それができる人を好むと思います」
(BLOGOLA編集部)
2018/06/22 17:00