大宮アルディージャは七夕の夜・7日にJ1第17節・鹿島アントラーズ戦を迎えます。チームは鹿島戦に向けて志木グラウンドで着々と準備を進めていますが、今週はクラブにとって一つの大きな出来事がありました。背番号10を着け、大宮のエースとして君臨していたラファエル選手が5日、移籍交渉中にあるボタフォゴ(ブラジル)のメディカルチェックを受けるためにブラジルへ帰国の途についたのです。
今回のブロゴラでは同胞のカルリーニョス選手が、鹿島戦へ向けてのコメントと、ラファエル選手への惜別のメッセージを記者陣に話してくれましたので紹介します。(取材・撮影/郡司 聡・EL GOLAZO)
■MF 5 カルリーニョス選手コメント
――次の対戦相手である鹿島の印象は?
「鹿島とは一度ナビスコカップで対戦している。0-1で負けたが、厳しいゲームだったと記憶している。クオリティーの高い選手がそろっていて、強いチームだった。鹿島戦に向けて何をやるべきか、1日1日しっかりとした準備ができている。今週に準備してきたことを表現できればいい結果が出ると思う」
――鹿島のジョルジーニョ監督の現役時代はご存知ですか?
「94年のW杯米国大会を覚えている。プロ意識が高く、尊敬できる選手だった。もちろん選手としてだけではなく、監督としてもリスペクトされるべき仕事をしていると思う。サンパウロFC在籍時代にジョルジーニョ監督が率いていたフィゲイレンセのホームで対戦したことがある。ブラジルで対戦したときは僕が勝ったが、ナビスコカップで戦ったときは負けたのでこれで1勝1敗の五分と五分。鹿島戦ではリベンジを誓って戦いたい」
――今日、ラファエル選手がブラジルに帰国したが、いまの率直な心境は?
「クオリティーの高い選手が去ったことは友人としても寂しい一方で、ラファエルがビッグクラブでプレーできるという目標に向かっていることはうれしい。大宮でやってきたように今までどおりブラジルでも結果が出るように、そして幸運に恵まれることを祈っている。選手が去っていくことはサッカーの世界ではよくあること。今回の決断はラファエルが高い目標に向かっているという証拠でもあるし、活躍することで友人・家族を喜ばせることができるのだからそれを称えたいと思う」
――6月30日に行われた清水戦後に、ラファエル選手がサポーターにお別れの挨拶をする場面をカルリーニョス選手は見ていましたが、どんな心境でしたか?
「彼から学んだことは多かった。模範的な選手だったし、大宮で歴史を残した選手。別れというものはいつだってツライ。彼は周囲にいい影響を及ぼしていたし、クラブに歴史を残した選手が去っていく…。大宮サポーターが悲しんでいる様子を見ていると寂しい気持ちでいっぱいになった。ただ、サッカーの世界では移籍による別れというのはつきもの。彼はブラジル代表という高い目標に向かっていくわけだから、それはいい方向に向かっているということでもある」
――ラファエル選手から何か託されたものはありますか?
「彼とは普段から多くの会話をしていたが、その中でいまはチームが下の順位にいるけど、そこから抜け出すためにお前の力が大事だというメッセージをもらった。僕自身、どうしたら大宮を上位に引き上げられるかということをピッチ外でも考えてきたが、彼はそういう姿勢を分かってくれていた。これからもクラブを上位に押し上げたいという姿勢を押し出して、自分の力を大宮に還元してほしいと。これからも上位進出という目標は変わらない。ラファエルがいなくなったことで今まで以上に一人ひとりの責任は重くなった。その責任の重みを一人ひとりが感じて取り組んでいく必要があるんじゃないか。
サッカーの世界は競争が激しくて、仲が良さそうに見えても本当の意味での友情関係を築くことはなかなか難しいものだが、異国にいながらもラファエルとはお互いに良い絆を築けたと思う。昨日(4日)の夜まで時間を共にして、ラファエルと彼の奥さん・家族、そして僕の家族も含めてお別れをしたんだ」
(大宮担当 郡司聡)
2012/07/05 23:30