23日、東アジア杯に参加している日本代表は夕方から韓国・ソウル近郊のパジュで練習を行った。
日中は雨模様に見舞われたこの日の韓国だったが、選手たちが練習場に姿を現す頃になるとその雨も上がり、幾分気候も涼しくなった中で練習が始まった。
この日はCKやスローインの場面など、セットプレーのトレーニングに時間を割いたほか、攻撃の組み立てから崩し方までの動きの確認も行った。
そして、25日に行われる第2戦の豪州戦のメンバーと思われる布陣も組み、戦術練習も実施。そこで主力組の1トップに入ったのが、鳥栖のFW豊田陽平だった。
第1戦の中国戦(21日)ではベンチスタートとなり、交代でも出番のなかった豊田。「試合に出る準備をもちろんしていたけど、結局その準備だけに留まってしまった」と、悔しさを隠しきれないでいた。だからこそ、中国戦が終わった瞬間から、「次(豪州戦)こそは」という思いが余計に強くなったという。
この日の練習でも、セットプレーでは打点の高いヘディングを何本も見せ、あらためてゴール前での高さ、強さといった特長を見せていた。ザッケローニ監督も「彼はいまの日本代表がウィークポイントとしている部分(高さ)をストロングポイントとして持っている選手」と評価しているだけに、長身選手ぞろいの豪州相手に豊田がどこまで通用するかは大きな注目だ。
選手たちは連日、ザッケローニ監督が掲げるチームコンセプトを意識したトレーニングとミーティングを繰り返している。ただ、その中で個人の特長を発揮することと、チーム戦術を遂行することの好バランスを、まだ見つけられていない選手も多い。豊田もそれを痛感している選手の一人である。
ただ、点取り屋として、ある覚悟も持っている。「ストライカーにとって、そこのバランスは本当に難しいテーマ。ただ、試合の流れのどこかで、自分の特長を優先させるべき場面が必ずあると思う。そこをしっかり試合の中で見定めないといけないし、それができなければ得点も難しい」。
1トップは、守備はもちろんのこと、ボールを引き出す動きやポストプレー、時には味方の潰れ役にもなる必要がある。しかし、自らの武器であるペナルティーエリア内での力強いプレーを出さずして、得点を奪うという最大の目的は果たせない。
豪州戦、ザックジャパン初陣を飾るであろう豊田は、その武器を大いに相手にぶつけ、自身の存在意義を示そうとしている。(現地取材記者・西川 結城)
(BLOGOLA編集部)
2013/07/23 21:43