平成25年5月25日(土)
J1第13節/等々力陸上競技場
「川崎フロンターレ 2-1 アルビレックス新潟」
等々力には新丸子から行くべきだ。
いやもちろん、都の南隣、神奈川県川崎市にある等々力陸上競技場に至るルートは多々あって、どれが正解というものではない。そもそも新丸子から等々力に至るルートですら、道が分岐しまくっているため多様性に満ちている。「何となくあっちのほう」で適当に歩き始めると確実に遠回りをする羽目になるが(何度かやった)、それはそれで楽しかったりもする。「いつもバス」という人は、一つトライしてほしい。
中断前最後の試合は、その等々力に行ってきた(新丸子から)。「強くなってきた」とウワサの川崎Fの状態を確認したかったのと、新潟に観ておきたい選手が多かったからだ。川崎Fは確かに良くなっている。何より等々力の雰囲気が良くなっていた。背中を押されるような空気感。やはり勝利に優る薬なしということか。多摩川クラシコを観たときは「もしかして残留争い?」と心配になる内容だったが、どうやら杞憂に終わりそうだ。5月負けなしの効用を実感した。
新潟では右SBの川口尚紀に注目していた。ユース上がりの高卒ルーキーだが、どうやらポジションを勝ち取ったようだ。元々FWだった彼が初めて右SBにトライすることになった年代別日本代表の試合を目撃していることもあり、成長を実感できるのはうれしい限りである。
そして、そんな川口について「年下が先にポジションを取っていて悔しい」と率直に口にする男も、新潟にいる。この日、Jリーグ初得点を記録したFW鈴木武蔵である。そんな男が投入されたのは、0-1のビハインドで迎えた69分のことだったが、そのわずか1分後だった。クリアボールを拾ったFW川又堅碁が肉体派の突破から中へと折り返すと、鈴木がこれを何とか押し込んで同点に追い付いた。やたらと泥くさい初ゴールだった。
結局、新潟は80分に決勝点を奪われたため、鈴木がヒーローとなることはなかった。ただ、若いFWにとって初得点の記憶と感覚が与えるモノは大きい。「去年よりもサッカーに対して深く関われるようになってきた感覚はある。コーチとも1対1で話をさせてもらったりして、勉強にもなった」という今年、殻を破っていく契機になるかもしれない。
「(川又)堅碁くんもキャンプではサブ組だった。自分も堅碁くんのようにチャンスを生かしたい。いまのレギュラーを蹴落とすんだというつもりで日々やっていく。練習のウォーミングアップでも、イチバン先頭に立ってやっている」。ギラギラと話す言葉にも徐々に力がこもっていく。これまでは「同じ(リオ五輪)世代の選手がゴールしたと聞くと悔しくて仕方なかった。『何で決めたんだよ!』と思っていた」そうだが、これからは逆に同世代の選手に刺激を与える選手になるだろうか。いや、新潟にしてみると、そうなってもらわねば困るというところか。「次はチームの勝利につながるゴールを決める」。そう語った鈴木武蔵の「ネクストゴール」を楽しみに待つ。
(EL GOLAZO 川端暁彦)
2013/05/26 15:00