平成25年6月10日(月)
練習試合/習志野秋津サッカー場
「U-18日本代表 1-1 順天堂大」
今回はU-18日本代表合宿の取材で、習志野へ。U-18代表は2年後のU-20W杯を目指すチームで、9日から千葉県内でのトレーニングキャンプを開始している。期間中は3度の練習試合を予定しているが、この日は順天堂大と対戦した。
この合宿のテーマは「そろえてトライ」(鈴木政一監督)。南野拓実(C大阪)や松本昌也(大分)といったJ1リーグで出場機会を得ている選手の招集は困難になっていることから、J1が中断期間になっているこの時期に、そうした選手を呼んで実戦テストを重ねる狙いがある。鈴木監督が当初の予定から変更を要望して実現したキャンプだった。
3月に始動したU-18代表は、今回が3度目の合宿だが、南野は第1回合宿には初日のミーティングのみ参加となっており、今回が実質的に初参加。エースと見込まれる男の出来が一つの注目点だった。
U-18代表はその南野が1.5列目に入った[4-4-1-1]のフォーメーション(左図)。鈴木監督はその起用法について少し迷ったとしつつも、「1.5列目に入れて、中盤に引いてもらって起点を作りながらやるほうが彼に合っているのかな」とその意図を説明する。ただし、次戦以降に別ポジションでテストする可能性も示唆した。
前半はその南野が持っているベースの高さを見せ付ける内容となった。対する順天堂大もMF長谷川竜也、和田直己らレギュラークラスが居並ぶほぼベストの布陣だったが、巧みにボールを収めて起点を作りながらゴール前のコンビネーションに絡み、フィニッシュをうかがうプレーを連発。常に裏を狙うFW越智大和(広島ユース)との相性も良い。ボランチの川辺駿(広島ユース)を中心に巧みなポゼッションで主導権を握ったU-18代表は、再三にわたってゴールへ迫った。そして11分、右SB広瀬陸斗(浦和ユース)のアーリークロスをニアサイドに走り込んだ、南野がダイビングヘッドで見事に合わせ、早々に先制点を奪い取った。
ただ、その直後、守備のゆるみをつかれて失点。以降も小気味良い動き出しの連続からしっかりボールを回すU-18代表だったが、今ひとつ決定打が出ず。鈴木監督は「個でもグループでもしかけていくチームにしたい」と語るU-18代表だが、まだ道半ばといった印象だった。
後半(左図)は選手を総入れ替え。強豪Jクラブも獲得に動いている高校選手権得点王・小屋松知哉(京都橘高)は驚きの右SB起用となった。これは右SBのサブだった鴨池陽希(FC東京U-18)が負傷したことに伴う緊急避難的起用だった。鈴木監督は「SBになって、“出す側”を体験することは元のポジションに入ったときの理解も深まる」と本人に説いて送り出したというものの、そうした思惑を超えて驚異的な加速で右サイドを疾駆する彼の存在感はなかなかのモノ。さすがのタレント性をのぞかせ、左SB高橋壮也(立正大淞南高)の驚異的なスピードとアップダウンが合わさり、後半の両SBは独特の味わいを醸し出していた。
ただし、ここでもスコアには結び付かず。MF望月嶺臣(野洲高→名古屋)のシュートがクロスバーを叩いた28分のシーンなど決定機は作っても、得点には至らないままタイムアップ。結局、この日の練習試合は内容面で大学の強豪を上回りつつのドローゲームに終わった。
やはり南野がエースになっていくことを予感させる内容ではあった。本人も「(2年前の)U-17W杯は本当に悔しい大会だった。『全然足りていない』と感じた大会。だから(U-20W杯への)思いは強い」と気合いは十分。次の招集は秋のアジア1次予選(中国で開催)の直前となることが予想されるだけに、合宿の残り期間を通じて少しでも連係面の向上を図りたいところだ。
この合宿、次の練習試合は12日の17時からユナイテッドパークにて千葉との間で行われる。プロを相手に、サムライの卵たちがどこまでできるのか。近隣でお暇な方は、足を運ばれてみてもいいかもしれない。
(EL GOLAZO 川端暁彦)
2013/06/10 22:07