オフシーズンに入り、彼の周りがざわめき立っていて、北九州サポーターにとっては、頭の痛い毎日を過ごしている。「普段通り」が口ぐせの彼は、去年に引き続きキャプテンとして、若手とベテランの間に入って、この癖のあるチームを1つにして引っ張って来た。
プレーでも、持ち味である正確なフィードと、相手をあざ笑うかのようなターンと、抜群のキープ力で、中盤から攻撃のタクトを振り続けた。静かに、その背中で語ってきた彼は、この1年をどう感じていたのかを聞いて来ました。
――主将として、今シーズンを振り返ったら?
木村祐志選手(以下、木村)「やっぱり去年は順位は8位で、チームとしても良い流れで試合をできていたので、その流れで今年も行きたかったんですけど、ちょっと最初はあんまり良くなかった。やってるサッカーは変わってなかったんですけど、うまく勝ち星に重ねられなかったですね。そこは、人が入れ替わったりしたのが影響したのかも。後半戦に入って、それがかみ合ってきて勝点を重ねられてきたし、サッカーの内容も前半戦より良くなったと思います。でも、上に上がってきた時に、次勝ってればという試合を勝ち切れなかったのは、課題と言うか、自分たちの物足りなさなのかなと感じました」
――その波に乗れなかった時に、選手同士で話したりは?
木村「特にはないですけど、自分たちのサッカーを信じてやっていれば、結果は必ず付いてくるって言っていた。そこを貫き通したと言うか、やり続けたことによって後半戦の良い結果につながったんだと思います」
――佐藤選手に次いで41試合の出場でしたが、ご自身の成績については?
木村「やっぱり、フル出場で全部出られたら良いと思いますけど、今年はけがっていう程ではなかったけど、足が痛いところもあって難しい部分もあった。でも、監督が信頼して使ってくれていたんで、その期待に応えたいというのが一番でした」
――前半戦は負け越していましたが、後半戦は盛り返しました。そのキッカケはありましたか?
木村「やっぱり、10人で戦った町田戦(ドロー)と大分戦(1ー0)の中で、みんな自信が付いてきたと思うし、それがうまい方向に勢いを付けてくれたんじゃないでしょうか」
――福岡にも、ダービーで初勝利を挙げました。
木村「自分は普段からあんまり意識しないんですけど、サポーターの人たちが意識すると思う。今年も九州ダービーは1位になれたので、去年だけだったら偶然と言われると思いますが、実力も伴ってきたんだと思ってもらえる。いつもはそんなに入らないですけど(苦笑)、あの時の試合は負けたくないっていう気持ちがサポーターにも、いつも以上にあったので、それで勝つことができて本当に良かったです」
――8試合負けなしの時の、チームの雰囲気は?
木村「流れにも乗っていたと思うし、試合をやっていても連係の部分でも、みんな分かり合えていたので、そこまで負ける気がしなかった。でも連勝が止まった後、連敗を止めることの方が難しかった。甲府戦(9月23日)で逆転しながら負けてしまったのは、後に引きずってしまったが、そこで切り替えてできたんで良かった。サッカーの厳しさっていうのを味わえました。まだまだですね」
――あらためて、ライセンス問題について聞かせてください。
木村「知った時は決まったことなんで、どうすることもできないですし、順位でも結果的には9位だったんで、別にどうこう思わない。それで6位に入ってたら、いろいろ思いますけど・・・。まだまだ、自分たちが6位に入ってないし力不足なんで、何も言えないと思います」
――最後は、さらにチームが1つになって、3連勝で終えることができましたが?
木村「6位以内が無くなった後も、やっぱり昨年の順位よりは上に行きたいっていうのが、みんなにあった。監督も、「終わり良ければ全て良しじゃないですけど・・・」ってことも言っていたんで、最後3連勝で終えられたので、自分もそう思いましたね(笑)。やっぱり勝って終わる方が気持ち良いですし、チームの雰囲気もよく終わることができた」
――2年間共に戦ってきた三浦監督が、退任を発表しましたが?
木村「全部の試合に出してもらって、使ってくれていたんで、すごく自分にとってはありがたい監督ですし、やっているサッカーも、やっていて楽しいサッカーだったんで、すごく充実した2年間でした」
――最後に、サポーターやファンにメッセージをお願いします。
木村「今年は全然勝てない時期もあったし、ホームでなかなか勝つことができなかったんで、つらい思いって言うか、つまんない思いをさせてしまった。後半戦は勝ち出して、お客さんの顔っていうのも、こっちから見ても良くなっていた。そういう姿を見ている方が、自分たちも、やりがいがあると言うか、やった後の充実感も感じる。そういう試合をすれば、サポーターのみなさんも喜んでくれると思うので、これからもそういう戦いをしたいですし、今年以上の応援をしてくれたら、来年もありがたいですね」
(北九州担当 坂本真)
2012/11/29 14:57