お疲れさまです
横浜FCは今季の公式戦を全て終了しており、12月からオフへと入ります。2012シーズンの全体練習もあと2日のみとなっています。そして、サッカー界においてこの時期、避けては通らないのが契約。契約が更新される選手もいれば、当然、非更新となる選手もいます。横浜FCでは杉山新選手、八角剛史選手、渡邉将基選手、そして、堀之内聖選手がすでに発表されています。今回は堀之内聖選手に話を伺ったので、ここでご紹介したいと思います
■堀之内聖選手コメント
――契約非更新選手の中に堀之内選手の名前があるのは意外でした
「まぁ、こういう世界ですからね。正直、スムーズには受け入れられてはいないですけど、去年も経験していますから。あんまり経験したいことではないですけど(苦笑)。しょうがないですね。しょうがないと言うか本当はもう1年できれば、ここでやって昇格して、という気持ちはあったんですけど、それがかなわないというのは・・・。まぁ、離れることになりますけど(昇格できるように)応援したいですね。監督を含め、このチームのことを応援したいです」
――横浜FCに来ることができて良かったという思いは?
「試合に出るっていうのは良いなっていうことを実感しました。負ければ悔しいし、勝てばうれしい。そういう喜怒哀楽とか感情の起伏も、今、振り返ってみれば楽しかったし、そういう雰囲気もやっぱり試合に出ないと味わえなかったことなので。本当に感謝しています、このチームにもこのメンバーにも」
――このチームでの思い出は?
「印象的だったのは、良い意味ではないですけど、最後(昇格プレーオフで)勝てなかったのは本当に悔しいですけど。1試合ではなくて最初、ああいう順位にいて、そこからみんなでここまで這(は)い上がってきて4位になれた。成績としては悪いものではないし、サッカーの質自体も単年で終わるようなものではなくて、来年にもつながる、発展性のあるものだと僕は思っているので、そういう意味では僕個人もこのサッカーを楽しめましたし、このメンバーとサッカーできたのはすごく楽しかった。このチームに来ることができて本当に良かったです」
――今後については?
「いや~、どうしましょうかね、っていう感じです(笑)明日までここで練習をやって、そこからもうちょっと考えるつもりです。去年はけがもあったので最後の最後まで(決断を)引っ張って結局、オファーもなかったですし。去年と違って今年はまた違った意味で悩むかなと。例えば、違うチームでまた1年やってみるとしてまた人間関係とか違う環境を作ってというのは、それはそれで大変な部分もある。もちろん、面白い部分もありますけどね。そういうことも含めて考えて、あとは実際に受け入れてくれるチームがないことには、っていうのもありますし(笑)。他の可能性も探りつつっていう感じですかね、特にプランはないですけど(笑)」
――現役続行への思いの方が強いのでは?
「難しいですよね。今はいろいろな可能性を残したいっていう気持ちが離れないようにしている感じですね。自分の中での綱引きと言うか葛藤が日によって変わりますね。Twitterやブログでも(励ましてくれる)コメントがたくさんあったので、そういうのを見ると『もう1年、言っちゃおうかな』とも思いますけど(笑)。まだ、心の中に揺れがあります、正直」
――トライアウトを受けるかどうかも未定?
「トライアウトは受けない可能性の方が高いかもしれないです。ああいう場で目立てる選手ではないので。いろいろな人に話を聞いたけど、自分はどこかストロングポイントがある選手ではないし、パッと目立てるタイプでもない。逆に参加することでマイナスになる要素の方が大きいんじゃないかと。ましてや、自分のやりたいポジションもできないかもしれないし。よほどハマらない限りはアピールするのは難しいかなと思います、あのシステムだと。もちろん、ああいう場があるっていうことは、とても良いことだと思っていますけどね」
――代理人に任せる
「いや、僕は代理人を付けていないので。代理人、堀之内聖です(笑)去年も最後の最後まで付けようか迷ったんですけど最終的には神頼み。そしたら、オファーが来ました(笑)でも、僕の知らないところで、いろいろな人が去年も協力してくれていたので。だからこそ、話の方も意外とスムーズにいきました」
――あれだけTwitterやブログに反響があると、心の中での綱引きもだいぶ一方に傾いているのでは?
「いや、それはもう本当に。もしかしたら、あれを見過ぎるのも良くないかもしれないです(笑)。みんな、本当に応援してくれるし、あそこで『もう、お前、引退しろ』って言ってくれる人もなかなかいないと思うので(笑)。本当にありがたい言葉ばかりなので、それを一度、心の中に入れて整理しないといけないかなと思います」
――簡単な決断ではないですよね。
「一度辞めてしまったら、もう戻れないですからね。かと言って自分の実力のせいですけど、去年、試合に出られない苦しさとかも味わったのでなかなか・・・。どうせならサッカー人生、良い形で終わりたいっていう気持ちもありますし、それが今年なのかどうなのか。間違いなく去年ではなかったと思っていたので、それだけは去年はありましたけど。総括すると昇格できなかった。それが残念です。それも自分のせいなんですけどね。だから、綱引きです。」
――浦和を離れてみて、あらためて浦和の人たちに応援されていることを実感できたであろうし、横浜FCに来て新しく応援してくれる人たちとの出会いもあったと思いますが?
「ここに来て新たに人間関係もたくさん作れましたし、ここに来なければ出会えていなかった人たちもいる。人間としての幅もサッカー選手としての幅も広がりました。逆に浦和を離れてここ何日かで浦和の人たちからも電話だったり、連絡をもらって『どうした?』って言ってくれる。選手を含め、知人、友人と色んな人たちが連絡してくれてます。浦和でもいつも見てるってコメントしてくれる人もいますし、離れても変わらないものもあるし、離れてあらためて実感するものもある」
――得たものも大きい?
「もちろん。この経験は絶対にマイナスにはならないです。こういう形になったけど別に誰に対してどうこうっていう気持ちはありません。本当にそれこそ感謝の気持ちしかないし、きれいに別れられるんじゃないですか(笑)」
――まずは少し体を休めてから考えることになる?
「ちょっと、ゆっくりするつもりですけどね。奥さんにはもう話もしていて、基本的には『やりたいように、やってくれていいよ』って言ってくれているので。あとは心と体と自分自身と相談しつつという感じですかね。なかなか決定打は見つからないと思いますけど、どこかでどっちかに白黒付けないといけないとは思います。年内には結論を出したいですね」
個人的には契約非更新選手の中に堀之内選手の名前があることは驚きでした。この日の練習後も話を伺おうと待ち構えていたら、堀之内選手の方から手を差し出してくださって「1年間、ありがとうございました」と声をかけていただいて・・・。話を伺おうとしていたのに涙腺が崩壊しそうになりました。堀之内選手も話の中で感謝という言葉を使っていましたが、私の方も堀之内選手にはお世話になりっぱなしで、この1年を振り返っても感謝の思いしかありません
今日の話の中では「今年は自分で100点を付けられるような試合がなかった。自分が自分の全盛期を知っているだけに、『何でできないんだ』って思うような試合もあった」とちょっと悔しそうな表情も見せていました。悔しさをどう消化するかも堀之内選手の来年に大きく影響しそうです。
29日のお昼の時点で堀之内選手のTwitterには約800の反響が寄せられていますし、今年1年間を振り返っても練習場でも三ツ沢でも浦和時代からのサポーターが足を運んでいた光景がありました。人としてもサッカー選手としても本当に素晴らしい方、人格者だと思います。私の方も取材を終えて「微力ですけど現役続行の方の綱を引っ張らせてもらいます」とお伝えすると苦笑いされていました。ご自身が活躍された際のエルゴラの写真をTwitterのプロフィールで使用してくださったこともありました。ひそかに、でしたけど自分の中では、すごくうれしいことでした
今もこうやって文章を打ちながらだいぶ切ない気持ちになっております。涙腺、崩壊しそうです・・・。でも、堀之内聖というサッカー選手に関わることができて、本当に良かったと胸を張って言えます。感謝の思いしかありません。堀之内選手、1年間、ありがとうございました。また、どこかで会える日を(できればピッチ上で)楽しみにしています。
それでは。
(横浜FC担当 杉山文宣)
2012/11/29 15:10