9勝6分け12敗。
これは、鈴木慎吾選手が来るまでの成績だ。良い試合と悪い試合がはっきりし、なかなか波に乗れなかったチームは、彼の加入と同時に7試合負け無し(6勝1分け)と、快進撃で目標のプレーオフ圏内へと突き進むのだった。惜しくも、その目標は逃してしまったが、若い選手が多い北九州に足りなかった経験や落ち着きなど、たくさんのものを与えてくれた。
――シーズンを終わっての感想は?
鈴木慎吾選手(以下、鈴木)「あっという間でしたね」
――9試合の出場で、印象に残っている試合は?
鈴木「全て出た試合、やったプレーというのは、印象に残っています。一番と言われれば、選手、スタッフ、ギラヴァンツに関わっているみんなが、快く受け入れてくれたことが、印象に残っている感じです。いろいろなチームに行っていますが、時間が掛かったりする場合もあります。しかし、北九州に来て自分も努力はしたが、すんなり入れました。努力はしても受け入れてくれないと苦労をしますけど、入りやすい入り口を作ってくれた。そのことが、このチームに来て印象に残っています。そういう面が、プレーに出たと思うし試合に出せた。そこが大事なことだったですね」
――実際、選手たちからの信頼も厚い。以下、選手たちからのコメントです。
「チームで一番の経験者。性格も、すぐにチームに溶け込んでいた。やっぱり、左足のキックは精度が高いし、独特なタイミングのパスで、ゲームに間を作ってくれた」(木村祐志)
「ベテランと感じさせない。練習や試合への取り組む姿勢が、長く活躍している選手だとあらためて感じた」(竹内涼)
「すごく良い雰囲気を持った選手。パフォーマンス以外でも、周りに良い影響を与えてくれた」(森村昂太)
鈴木「もともと、彼(木村選手)はポテンシャルがある選手。他にも、若いけどポテンシャルの高い選手はいたんで、あとは自信さえ持ってプレーすることができれば、チームは上向きになると思った。だから、僕自身の経験で道を進めてあげる。そういう役割をプレーで果たせれば、全体がうまく行くと思っていたが、思った以上にうまくいった。思っても、なかなかできない場合もあるが、自分が入ってチームのプラスになれば良いと思ってやって来た。自分の評価は、僕自身できないんで、周りがどう思っているか。僕自身は来た時よりも、みんな、個々を見ても、チームを見ても、よそのチームよりレベルアップしていると思っている。これからが、もっともっと楽しみです」
――移籍加入後、三浦泰年監督は「何も求めていない。彼が、幸せを感じてくれれば」と言っていました。
鈴木「監督としたら、選手の1人ですからね。年齢は関係無く、同じスタートラインに立たせてくれた所が、自分としても良かった。どうしても若い選手は伸びしろがあるから、ベテランだからという目で見がちだが、三浦監督は、どうしたらこの選手は伸び伸びできるのかを、一番に考えてくれていた。本当に、快く受け入れてくれたことに感謝しています」
――この3カ月間は?
「サッカー選手として幸せでした。それは自分自身で、もっともっと幸せにできたと思うし、それはまだ満足はしていませんし、これからもサッカー選手として満足できるように、一生懸命サッカーをして行くだけですね」
(北九州担当 坂本真)
2012/11/18 10:28