山口螢選手と扇原貴宏選手の五輪凱旋(がいせん)弾に、フル代表の前田遼一選手の2発。計7ゴールが乱れ飛んだ第22節のヤマハスタジアムは、大いに盛り上がりました。とはいえ、両チームともに守備の不安は拭えず、特に、C大阪は全ての失点がセットプレー&サイド攻撃絡みであり、ゾーンDFの不備、そしてクロス対応の弱さが露呈された内容になりました。
前半について、「互角のゲーム運びだったと思う。その中で、セレッソはボールをしっかりつなぐ、ということを冷静にやることができた」と振り返ったセルジオ・ソアレス監督ですが、ボールの運び方、フィニッシュに至る形の作り方は磐田の方が上でした。C大阪は、“劣勢に陥りながらも、丸橋祐介選手、酒本憲幸選手の個の突破で奪ったセットプレーから、山口選手と扇原選手の2発で何とか同点で折り返した”内容でした。ですが、後半に入り、前からのプレスが効き始めたC大阪が試合を支配し始めます。3点目を奪った68分までの時間帯はC大阪の時間帯でした。前半と後半の出来の違いには驚きましたが、新たに組んだ中盤が短時間でフィットし始めるあたりは、能力の高さゆえ、でしょうか。このまま押し切りたいC大阪でしたが、選手交代により流れは再び磐田へ傾きます。小林祐希選手の縦への推進力(3失点目は、扇原選手が彼をつぶし切れずにサイドに展開されたことが起点になりました)、そして山崎亮平選手の突破力(4点目につながったクロスは彼の突破からでした)に、C大阪は対応出来ませんでした。
振り返れば、拮抗(きっこう)した展開、もしくはリードしながら、相手の選手交代により流れを失った試合は、少なくとも、第6節・新潟戦、第7節・鹿島戦、第11節・清水戦、第12節・柏戦に続き、5試合目です。流れを奪い返す采配やピッチ内での対応に課題が残ります。
また、第21節・G大阪戦も含め、守備に入った時間帯で相手に押し込まれているだけに、C大阪としては、90分の時間の使い方が課題として浮かび上がってきました。
「修正点は、リードしてからの試合運び。今の自分たちは相手にボールを持たれている時間が長いし、ラインが下がって押し込まれることが多い。ずっと押し込まれていれば、失点を喫しても仕方のない状況にもなる。奪ったあとにもう少しつなぐとか、つないでいる間にDFラインを押し上げるとか、相手をゴールから遠ざけることを、もっと考えないといけない。試合運び次第で勝てると思うし、次はそういう部分をしっかりやりたい」(扇原選手)
選手たちは課題を自覚しているだけに、あとは実践あるのみ、です。
(C大阪担当 小田尚史)
2012/08/22 08:18