前節・札幌戦で誰もが注目したポイントは、新加入のシンプリシオ選手のプレーぶりでしょう。EG本紙のマッチレポート内でのコラムでも書かせてもらいましたが、結論から言うと、運動量はそれほど多くはなかったものの、プレーの正確性や判断力は際立っており、中盤で安定感をもたらしてくれました。
「ファビオ(シンプリシオ)の今日のパフォーマンスについては、非常によかった。ボランチに求められるものとして、パスミスを少なくするということがあるが、パスを正確につなぐ仕事をしっかりと果たしてくれた。さらに、ファビオはヨーロッパから来た選手であり、今のコンディションはシーズンが始まる前の状態。他の選手とは全く違う状況なのだが、その中で、経験を生かして90分プレーしたことは非常に高く評価できる。彼の経験があるからこそ、中盤を落ち着かせられることができた」(セルジオ・ソアレス監督)
「ボールを失わないし、チームを落ち着かせてくれた。そういう選手には、自然とボールも集まる。時間を使って、しっかりゲームをコントロールしてくれた」(播戸竜二選手)
「ボールを欲しがってくれるので、預ける方としても預けやすい。責任を持ってプレーしてくれる。ボランチでボールを受けてくれたら、相手の嫌なところでボールも回せるし、ラインを押し上げる時間も作れる。時間をかけて攻めることもできる」(酒本憲幸選手)
監督、選手のシンプリシオ選手に対するコメントですが、“落ち着き”や“時間を作る”という言葉がキーワードになっていますね。特にピックアップしたいのが、「ラインを押し上げる時間も作れる。時間をかけて攻めることもできる」という酒本選手の言葉です。
というのも、前々節・柏戦の試合後、カウンターによる攻撃とポゼッションからの攻撃、両者のバランスの問題について書きましたが、シンプリシオ選手の存在により、この問題を解決できるかもしれないからです。速攻に行ける際は、素早く前へ。速攻がムリな時は、ボールを回しながら、攻め急ぎがない。柏戦の試合後に藤本康太選手が指摘していた部分ですが、シンプリシオ選手は、この辺の判断力にたけたプレーを見せてくれました。
もちろん、この試合だけで全てを判断できませんが、「さすがに何年もの間、イタリアでプレーしていただけのことはある。すごい選手」(茂庭照幸選手)ということは確かでしょう。今週行われるナビスコカップ準々決勝第2戦の鹿島戦と、リーグでのG大阪戦、強豪相手にどのようなプレーを披露してくれるか、引き続き、注目です。
(C大阪担当 小田尚史)
2012/08/07 15:45