ザックジャパン馴染みの常連組に、東アジア杯で台頭した新戦力がついに融合を果たす。ここから来年のブラジルW杯に向けて、日本代表は新たなステージに足を踏み入れようとしている。その手始めとなる、14日のウルグアイ戦(宮城スタジアム)。その一戦に向けた初日の練習のピッチには、いきなり刺激的な光景が存在していた――。
12日、ウルグアイ戦に臨む日本代表の面々は、正午に仙台市内のホテルに集合した。所属クラブの日程の都合で、GK川島永嗣、DF長友佑都、内田篤人、酒井高徳、FW香川真司、岡崎慎司の6人は集合に間に合わなかったが、それ以外の17名が顔をそろえた。
練習会場となったユアテックスタジアム仙台のグラウンドに姿を現した面々の表情は、多様だった。常連組の選手はリラックスしていたものの、やはり東アジア杯から抜擢されたメンバーからは、少し硬さも見られた。注目の柿谷曜一朗は、山口螢や工藤壮人など、先月約10日間同じ釜の飯を食べた仲間と固まって歩くなど、まだまだぎこちない空気を漂わせていた。
選手たちが体を動かし始める。少しずつ、会話も生まれていき、青山敏弘は同世代の本田圭佑とも何やら談笑をしていた。
そして、本格的なトレーニングが始まった。そのメニューは、いきなりウルグアイを想定した、実戦的なものだった。
人数がそろわないため、11対11の紅白戦はできなかったが、基本的なチームコンセプトを確認しつつ、14日の試合に向けた動き方を詰めていくために、実際の布陣に近い形で選手たちを配置。相手の中盤がダイアモンドであることを予想し、片方の組を同様の布陣にして仮想ウルグアイと見立てた。
先発組と思われるメンバーには、CBに今野泰幸と吉田麻也、ボランチには遠藤保仁と長谷部誠、トップ下には本田と、やはりチームの骨子となるセンターラインには順当に常連組の主力が入っていった。
そんな中、注目を集めたのが1トップだった。前田遼一、ハーフナー・マイクが選外になった今回、同位置には二人の新戦力が候補に挙がっていた。柿谷と豊田陽平。ともに東アジア杯を戦ったFW。いったいどちらがウルグアイ戦の先発を勝ち取るのか。この日の主力組の最前線に立ったのは、柿谷だった。
攻撃、守備が交互に入れ替わりながら、メニューが進む。試合相当の負荷はかけられず、あくまで動き方の確認に重きを置いているため、展開自体はスローなものではあった。それでも相手を想定したトレーニングでもあるだけに、みんなが集中した動き方をしていた。本田のワンタッチのスルーパスに、柿谷が抜け出してシュートを放つシーンなど、見ているわれわれに実際のプレーを想像させるような瞬間も存在した。
しかし、徐々にプレーが遮られる回数が増えていく。笛を吹き、動きを止めていたのは、ザッケローニ監督。指揮官はその都度、ボールの受け方やポジショニングについて、攻守両面で事細かに指示を出していった。そして、その声の矛先は段々、一人の選手に集中していった。本田だった。
(BLOGOLA編集部)
2013/08/12 22:00