さらに、刺激を感じた青山が続ける。
「とにかくチームをより良くしていこうという思いにあふれている。あそこまで強く思えれば、レベルアップはできると思う。話としては、攻守両面での動き方について。ウルグアイのシステムに対しては、あのポジション(トップ下)は細かいところを詰めていかないといけない。ただ、かなり高い戦術能力がないと、ついていくことができない話でもある。それにやっぱりザッケローニ監督のブレない姿勢も見て取れた。チームのトップ、ボスという感覚をすごく感じた。それに対して本田もすごく高い要求をしていた。正直、自分がまだ代表であそこまでのことを言える立場ではない。でもここでプレーしていくということは、そういうプロとしての高い意識が必要なんだとあらためて分かった。まだ吸収する側だけど、ここから本当のサバイバルが始まっていく以上、そこにチャレンジしていかないといけない」。
青山ほど近い距離では指揮官とエースの熱を感じられなかったが、本田の少し前でその光景を見ていた柿谷も、こう話す。
「東アジア杯のときとは、代表の雰囲気や刺激が全然違う。でも、その中でも僕ら新しい選手はやらないといけない。僕らはまだチームのコンセプトを100%理解できていないし、まずは最低限そこを早く理解しないと。ただ本田さんと監督の話は、やっぱり何年も一緒に高いレベルでやってきて、さらにお互いの考えが分かっているからこそのやり取りだったと思う。代表とはそういうところなんだと感じた」
白熱の20分間。思いもよらない、チームを代表する二人の討論によって、ザックジャパンの新たなスタートが幕を切った。例のごとく、練習後の本田は報道陣の問いかけに、「お疲れさまでした」の一言のみだった。ただ、この日のやり取りについて聞かれると、無言のままだが少し表情を緩めて、笑みを見せた。
新たに加わった選手たちに対して、本田が示した代表戦士としてのプライド。そう言ってしまうのは、何とも都合の良い解釈かもしれない。ただ、ユアスタのピッチで見られた異例の光景を目にして、大いなる刺激と覚悟をその身に染み込ませた選手がいたのも事実だ。
東北の夏とは思えない、30度を超える暑さ。それに負けないぐらいの熱気を、指揮官とエースが作り上げていた。14日に迎える強豪との一戦に向けて、彼らはその熱を冷ますことなく、杜の都で準備を進める。(現地取材記者・西川 結城)
(BLOGOLA編集部)
2013/08/12 22:00