adidas CUP日本クラブユース選手権(U-18)1次ラウンド第2日
「セレッソ大阪U-18 2-6 柏レイソル U-18」
行くべきか、行かざるべきか。それが問題だった。
ポゼッション型のチームに対し、前線からプレッシングをしかけるというのは一つの“正解”である。今年の欧州CLで猛烈なプレッシングからバイエルンがバルセロナを粉砕してみせたのは記憶に新しい。ただ、正解が一つではなく、場合によってはそれが失敗をもたらすのも“サッカーらしい”話である。そんな試合だった。
「弱いです。プレスのかけ方が弱いんです」
セレッソ大阪U-18を率いる大熊裕司監督は、敗因を極めてシンプルに語った。大会の第2戦。1戦目を引き分けていたC大阪はこの試合、普段と同じように前からボールを奪いに行った。前半の半ばまでは悪くなかった。「相手は個人の仕掛けに弱い」(大熊監督)という事前の見立てに沿うように、10分にMF高田和弥がドリブルでの単独突破から奪った先制点は、「狙いどおり」(大熊監督)のもの。
だが、続かなかった。
20分を過ぎると、C大阪のアタッカー陣の足が止まり始めた。理由は簡単で、柏レイソルU-18のボール回しのスピードが、プレッシングのスピードを凌駕していたからだ。追っても取り切れない。追っても取り切れない。また追っても……となれば、心が折れる選手が出てくる。一人がサボるともう一人のプレスも空転する。空転すれば、体力と精神力の双方が食われていく。始まった悪循環が、若き桜色のイレブンを蝕んでいった。照り付ける太陽が、“太陽王子”たる黄色と黒のイレブンのサッカーを後押ししていたのも確かだった。
大会の初戦、柏は「かっこつけたプレーをしようとして基本を忘れ」(下平隆宏監督)、惨敗した。「負けて当然!」と立腹した下平監督は、この試合を前に、ボールを受ける基本的な動きとボールを回す発想の基本を再確認。「難しいことも新しいことも教えていない」というが、まさに初戦で欠けていたものを叩き直していた。「セレッソは頑張って(前から)プレッシャーをかけに来る」という点も見越して、GKをトップ登録されている伊藤俊祐から、ビルドアップの得意な木村真に代える荒療治も施した。「GKを使いながらのビルドアップ」という「柏の基本」をもう一度イメージ共有することを図っていた。
この日の試合内容は、まさにその成果。追い切れなくなったC大阪のプレスをいなしながらボールを動かし、前半の内に逆転すると、後半は前掛かりになる相手の裏を効果的に使って大量点を奪い、6-2と大差を付けて完勝。試合後、ハットトリックの大島康樹が「今日の試合は(初戦と違って)自分たちのサッカーができた」と満面の笑みを浮かべていたのも、当然だろう。
(EL GOLAZO 川端暁彦)
2013/07/26 18:44