
日本代表FW浅野拓磨が、3日に行われたキリンカップ・日本対ブルガリア戦(豊田スタジアム)で後半途中からピッチに立ち、PKで代表初ゴールを挙げた。
この日は隣県の三重から家族がスタンドに駆け付けていた。母親がうつむきながら祈る前で、浅野は代表初ゴールを決めてみせた。「ゴールで勝利に貢献したいと思っていた。家族はいつも応援してくれる。来てくれた試合で点を取れて本当に良かった」。
6点リードの59分に交代でピッチに入った浅野は86分、敵陣深くでスピードを生かし突破。たまらずDFがペナルティーエリア内で倒してしまい、PKを獲得した。自ら奪った得点のチャンスに、ボールを抱えてPKスポットに向かった浅野。しかし、ベンチの前ではヴァイッド・ハリルホジッチ監督が何やら大きな声でジェスチャーを送る。そのときの状況を浅野が明かした。
「ピッチの選手たちは『お前が蹴って!』という感じだったんですけど、監督のゴーサインがなかなか出なくて。でも自分は蹴りたい気持ちがあったので、ボールを離しませんでした(笑)。チームとしてのキッカーは僕じゃなくて、宇佐美さんだったようです。だから監督も『代われ!代われ!』とこっちに言っていたみたいです」
試合後に記者に囲まれて話していると、ちょうどすぐ横をハリルホジッチ監督が通った。「いま、PKのことを話しているのか?」と指揮官。「そうです」と答えた浅野にハリルホジッチ監督は首をひねってため息をつくポーズ。もちろんこれは監督のジョークで、最後は笑顔で去っていった。
「PK以外はパスがズレたりボールを失ったりするプレーもあったし、課題も見付かった。この経験は大きな力になると思う」。欧州組が入った代表に初めて招集された試合で、強気な姿勢でPKを蹴り込んでみせた浅野。初ゴールに満足せず、次は快速を見せ付け流れの中でゴールを狙う。競争激しい代表のアタッカー陣に、U-23代表のエースが堂々加わった。
文:西川結城(日本代表担当) 写真:六川則夫
(BLOGOLA編集部)
2016/06/04 10:48