甲府の練習には、選手たちが帰った後も続く“裏メニュー”がある。練習が終わってずいぶん経つはずなのに、楽しそうにボールを追い、笑い声の絶えない男たち――。選手でなく、甲府のコーチング陣の「白熱すると優に1時間は超えちゃう」(城福浩監督)というパス回しだ。
練習で選手にお手本を見せるためには「現場らしい体」を維持する必要があり、そのためには体を動かしたほうがいい。「自分自身のリセット」、「スタッフの親睦」という精神面のメリットもある。それが城福監督の語る“裏メニュー”の意義だ。
城福監督は「いいときも悪いときも、僕らはサッカーを楽しむという姿勢を示したい」とも言う。チーム状態が悪いとお楽しみを自粛してしまうクラブもあるというが、「前を向いてやれといっても、僕らがそんな感じなら選手はそうならない」(城福監督)。チームが厳しいときもあえて楽しくボールを追う姿勢が、選手へのメッセージにもなるのだろう。
(甲府担当 大島和人)
2013/06/10 21:23