9日、大分市内で、小手川宏基選手と井上裕大選手が地区の餅つき大会に参加しました。今季限りでチームを離れることになった小手川選手にとっては、これが大分で最後のイベント参加。最後に小手川選手に会いたいと、雪のちらつく住宅街の公園に、多くのサポーターが駆けつけました。
小手川選手と井上選手は大分市生まれの同級生同士。小学生の頃から練習試合で対戦した仲で、当時から大分サッカー界の期待を背負ってきました。井上選手はU-15から、小手川選手はU-18からアカデミーに所属した生え抜き。それだけに、小手川選手が大分を離れるのは、とりわけ寂しいものです。
人並み外れてボディバランスがよく、プレー中の姿はしなやかな野生動物のよう。何事につけても勝負強く、ボウリングでもゲームでも、必ずと言っていいほど勝ってしまう。「こっそり練習してるんでしょ!」と仲間たちに突っ込まれても「してねーよ」と笑うだけ。
小手川選手のプロデビューは彼が高校3年生だった2007年3月10日、J1第2節のアウェイ・磐田戦。2種登録してわずか数日のことで、チャンスは思いがけず巡ってきました。居残り練習中にブラジル人FWセルジーニョが負傷し、当時の指揮官シャムスカ監督は、ユースから練習参加していた小手川選手を、急きょチームに帯同させることに。突然のことでスーツも持たず、学生服でヤマハスタジアムに向かったのでした。試合には80分から出場。「緊張してほとんど覚えていない」と語ったあの日から6年近く、トップ昇格してから5シーズンが流れたのですね。
その間、チームには、いろいろことがありました。ナビスコカップ優勝、J2降格、クラブの経営難、そしてJ1昇格。小手川選手自身は、2010年4月25日、J2第8節北九州戦で左足関節を脱臼骨折。1年半にもわたるリハビリを黙々と乗り越えて、2011年11月6日、第34節ホーム千葉戦で復帰を果たしたときの、スタンドから湧きあがった「おかえり」の拍手は忘れられません。そして2012年開幕戦で、待望のリーグ戦初ゴール。完全復活がうれしくて泣けました。
ユース時代を含めて8年間在籍した“コテ”が大分の選手でなくなることは、いまだにちょっとうまく飲み込めないけれど、彼ならきっと、どこへ行っても活躍するでしょう。
負傷離脱していた時期も、たくさんの地域のイベントに参加しホームタウン活動に協力してくれた小手川選手。名残を惜しむサポーターたちに取り囲まれて、終始笑顔のお別れとなりました。小手川選手のこれからの活躍を、心から祈ります。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/12/11 17:43