27日の練習後、浦和の練習場である大原では“大騒動”が巻き起こりました。この日はそう、田中達也選手の30歳の誕生日。先日、今季限りで浦和を離れることが発表された田中選手ですが、大原で最後になるであろう誕生日祝いは盛大に行われました。
報道陣のインタビューを受けて「三十路(みそじ)になった実感は特にない。ここまでサッカーをやらせてもらったことに感謝している。けど、僕のサッカー人生はまだ続くと思っているので、まずは次の試合で勝つことが一番の恩返しだと思っている」といつものように真面目に答えていた田中選手。しかし、これも1つのトラップです。
報道陣が話を聞いていると、山岸範宏選手が田中選手を「羽交い絞め」に。これを合図に各選手が田中選手にパイをぶつけ、クリームを塗りたぐり、田中選手の顔はあっという間に真っ白に。田中選手も「なんだよ。ふざけんなよ」と言いながらも、満面の笑みを見せていました。
田中選手を羽交い絞めにした山岸選手も「達也の状況もそうだし、同期としてお祝いできて良かった」と感慨深げな様子。そして「達也を祝う意味でも名古屋戦に勝つことが一番」と気持ちを新たにしていました。
こうして大盛り上がりだった田中選手の誕生日祝い。しかし、どう考えてもおかしい選手が他にもいました。それは槙野智章選手。自分の誕生日とは全く関係ないはずの槙野選手でしたが、田中選手に負けないぐらいに顔が真っ白に。
「誕生日ですか?」と記者に冗談を言われると、「5月だけど。今日は浦和レッズがJ2に落ちた日でしょ? 誕生日じゃないでしょ。おかしいだろ。いつもこうだからね。企画するだけして、最後に落とされる」と憤慨(したふり)。しかし、「何でお前がインタビュー受けてんだよ」とチームメイトにツッコまれると、まんざらでもないとばかりに大笑いしていました。さらに山田暢久選手には「クリームがもったいないから」と頭に山盛りにされる始末。その姿を見た阿部勇樹選手には「ヤバい、筋斗雲が付いてる」と大笑いされていました。
クリームが鼻の中に入ったのか、風邪でもないのに鼻声でインタビューに答えていた槙野選手でしたが、「達也さんの笑顔を見られて良かったけど、本当に喜んでもらえる姿を見るには、最終節に勝って送り出すこと」と殊勝なコメントも忘れませんでした。
このように「達也のために」とチームメイトに思われている田中選手ですが、自身も「埼スタは僕のサッカー人生で最も良い思い出が残る場所。最後に1点を取って終えられれば」と気合十分です。ACL出場権を獲得するためにも勝たなければならない名古屋戦。ACL出場権は自力だけでは成し遂げられないことですが、もし、田中選手がゴールを決めて3位になるようなことがあれば…。埼スタに新たな歴史、伝説が生まれることを願っています。
(浦和担当 菊地正典)
2012/11/28 08:10