日本代表は2日、6日に行われるロシアW杯アジア最終予選・イラク戦(埼玉)に向けた合宿を開始した。初日は、前日にJ1リーグを戦った選手11人に、この日帰国した清武弘嗣(セビージャ/スペイン)を加えた12人でのトレーニングとなった。
この日唯一の海外組だった清武は、この夏に移籍したセビージャでは順調な滑り出しをしたものの、直近ではリーグ戦3試合、チャンピオンズリーグ1試合で出番なし。苦しい現状となっている。
「欧州に渡って5年、過去4年間はドイツでは試合に出られない経験をしてこなかった。こういう厳しい環境を自分で選んだので、想定内と言えば想定内ですけど、いざこういう状況になると悔しい」
苦しさを吐露した清武だが、不満を漏らしたわけではない。あらためて、セビージャで体験している経験は貴重であると強調した。
「競争のレベルは高い。ナスリ(元フランス代表)もいるしガンソ(元ブラジル代表)もいる。自分のポジションには7、8人の選手が常にいて、そこで回していくような感じ。いつ誰がベンチ外になってもおかしくない。でもその競争を望んで来たわけですし、最高の環境だと思います」
気持ちを切らすことなく前を向く清武。そして頭の中は、代表戦にしっかりと切り替わっている。
「帰国する飛行機の中でもいろいろと考えていた。先月、ホームでUAEに負けている。(次の)イラク戦もホーム戦ですし、勝ち点1じゃ物足りない。またそのあとの豪州戦も勝ち点1じゃ足りないと思って帰ってきました」
クラブで公式戦出場から離れていることから試合感が不安視されているが、「試合感はすぐに鈍るものでもない。何を持って試合勘が鈍ると言われるのか、僕もよく分からない。さっきも言ったように、試合に出られない経験は僕も初めて。未知ですね(笑)」
最後は笑いを含ませたが、すぐにW杯予選への熱い思いを続けた。
「でも、今回は試合に出たい。W杯を懸けたこの戦いは10試合ぐらいしかない。UAE戦に負けたので、余計に危機感がある。日本代表は絶対にW杯に出ないといけないと周りからも思われているので、常にプレッシャーもある。僕たちも出たいし、みなさんも出てほしいと思っている。その思いを背負って、試合を迎えたい」
厳しい自身の現状を冷静に分析し、下を向くことなく代表に帰ってきた。技術や能力は申し分ない。責任感と強い思いで、清武は苦しいハリルジャパンを支えようとしている。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
(BLOGOLA編集部)
2016/10/02 21:04