香川が攻撃陣の立場でこのウルグアイ戦への意気込みを語ったのに対して、守備陣でも気持ちを引き締めて立ち向かう選手がいる。
吉田麻也は、先のコンフェデ杯では毎試合失点に絡んでしまうなど、個人的にも踏んだり蹴ったりの結果となってしまっていた。当然、この試合を信頼回復のきっかけにしたい思いである。
「コンフェデ杯に続いて、強豪との対戦となる。チームも僕自身も、ここから巻き返しを図っていかないといけない。W杯まではもう親善試合しか残されていないけど、いまはものすごくハングリーな状態。1試合1試合、勝ちにこだわっていきたい」。
ウルグアイの攻撃陣で要注意選手と言えば、ルイス・スアレス。イングランド・プレミアリーグのリバプールに(現時点では)所属するFWで、抜け目のないプレーでゴールを陥れるゴールゲッターであると同時に、相手選手に噛みついて長期出場停止処分を受けるトラブルメイカーでもある、何かと話題に事欠かないストライカーである。
昨季、吉田はプレミアの舞台でスアレスと2度対戦。アウェイでは0-1と敗戦を喫したが、ホームでは3-1で快勝。その2試合でスアレスはサウサンプトン守備陣に脅威を与え続けたが、結果は無得点。特に今年3月にサウサンプトンのホームで行われた一戦では、吉田が要所でスアレスをストップするなど、日本人CBの好プレーが光った。
ただ、点を取られていないからといって、もちろん気を抜ける相手ではない。
「常にゴールに向かってくる。DFにとっては本当に嫌な相手です。さらにシュートレンジも広い。一瞬の隙を逃さないし、クロスに対して素早くニアに入ってくる動きがうまい。さらに体のぶつけ方もいやらしい。まず間違いなく、アジアの戦いではいないストライカーです」。
そのスアレスをプレミアの舞台同様、きっちり無得点に抑えられるか。もちろん守備は一人でやるものではなく、一概に2人の対決がそのまま勝負の決着につながるわけではない。ただ、実際にプレミアでこの難敵を黙らせた経験を持つ吉田だけに、ウルグアイ戦でも期待が集まる。
「プレッシャーを感じるのは別に今の状況だからではなく、いつもいい緊張感を持ってプレーしている。でもそれを自分のプレーできちんと見せないといけない。明日もそれは意識したい」。
攻守それぞれの立場で、このウルグアイ戦に向けた高いモチベーションを示した香川と吉田。それはそのまま、チーム全体のテンションと同等と捉えられる。
東アジア杯のメンバーと、既存の戦力が初めて融合を図るこの試合。新参者に注目が集まる中で、ブラジルの地で辛酸をなめた主力選手たちの意地の巻き返しにも、大いに期待したい。
(現地取材記者・西川 結城)
(BLOGOLA編集部)
2013/08/13 22:40