そういう星の下に生まれた人物
――選手の適正能力を見抜くことに長けている。より能力が高い選手が集まる代表のほうが、その手腕が発揮される可能性もあります。
「代表向きの監督でしょうね。これまでも10年の南アフリカW杯後に岡田(武史)の後任として名前が挙がったこともありました。実は(フィリップ・)トルシエ監督時代に一度、西野が後釜に浮上したことがあったんです。トルシエ監督が解任になる可能性が浮上したときに、西野がそのあとを継ぐ可能性がありました。当時は柏の監督で、協会から調査が入ったことは事実です。こちらとしては聞く用意はできていましたが、この話が明るみに出ると、いろいろなメディアに西野も僕も追いかけ回されました。トルシエ監督の去就も流動的だった中、二人で車の中で相談したことを覚えています。結局、最後は西野が『俺は柏に残る』と決断して残留しました。柏とG大阪のとき、これまで2回代表監督になる可能性があった時期があったわけですね」
――そういった意味ではようやくの代表監督就任になりました。
「今回は短期間かもしれませんが、ほかからやってきた監督ではありません。それまで技術委員長を務めて、選手たちのことをよく見ていたわけです。
また、このタイミングで代表監督になったということは、ある意味そういう星の下に生まれている人間だと思いますね。アトランタ五輪でもそうでしたが、彼の周りの人間はみんな彼のために力を尽くします。スカウティング部隊もそうでした。今回も同じような雰囲気がありますよね。いろいろなスタッフの人材が代表に戻ってきていますし、西野にはあまり敵がいない。本当に人徳があると思います。
彼が何かアクションを起こすと、そこに必ず人や運が必ずついてきます。もちろん理論的に優れた部分は必要ですが、勝つためには理屈だけでなく、人の流れや機運などとの巡り合わせもすごく大事な要素ですよ。そこに関して西野朗という監督は、日本人屈指の力をもっていると信じています」
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聞き手:西川結城 取材日:5月23日(水)
※このインタビューはエルゴラッソ2048号に掲載したものを再構成したものです。
(BLOGOLA編集部)
2018/06/23 07:00