今季の湘南の試合をよく見ていると、試合の中で選手の配置がかなり細かく変わることがある。例えば第11節の浦和戦では、[3-5-2]の布陣でスタートしていたはずだが、3ボランチの一角だったはずの石川俊輝が前に出て[3-4-2-1]に見える時間帯があった。また前節の柏戦でも、ワンボランチの[3-5-2]でスタートしたはずが菊地と石川のダブルボランチになる時間もあった。
これを菊地俊介に聞いてみると、その多くは選手たちの判断だという。
「お互いに話をして、ダブルボランチにしようかと決めたりします。曺監督もその決断は尊重してくれますね」
石川に聞いても同様だ。前述の浦和戦で前目にポジションをとったのも、「ステバノヴィッチとのバランスも見ながら、槙野選手がボールを持って前に来たがるので、そこを牽制する意味でも前に出た」という。これは今年に入ってから継続していることだ。もちろん監督からの指示もあるが、選手の判断で都度形を微妙に変えている。
これができるのも、曺監督の余裕にあるのかもしれない。シーズン当初、曺監督は「今までは自分がやらなければいけないと力んでいたが、今年はそういった気負いがなく、今までで一番楽しめている」と話していた。また菊地自身も、シーズン当初には「監督から試合中に指示が飛ぶのは少なくなった。選手の自主性を見てくれている」と話していた。それは今も変わらないようだ。そしておそらく、敗戦を喫しても曺監督が常にポジティブな姿勢でいられるのも、選手たちの成長を見ているからだろう。この一年で湘南がどこまで「大人」になれるのか、見届けたい。
(湘南担当 中村僚)
2018/05/04 18:28