前節・山形戦で自身2シーズンぶりとなるゴールを挙げ、チームの勝利に貢献したDF玉林睦実。しかし、ゴールを決めた直後の玉林に笑顔はなく、そこには彼らしい恩義を重んじる義理堅さがあった。
前半38分、愛媛のCKから玉林はゴール前で相手選手ともつれ合いながらも右足でボールを押し込んだ。沸き立つスタジアム、満面の笑みで喜ぶチームメートをよそに、玉林の表情はポーカーフェイスのまま。チームメートが求めてくるハイタッチに対して控えめに応えるにとどまった。
試合後、玉林はゴール後に感情を出さなかったことについて「(昨季まで指導を受けた)木山さん(山形・木山隆之監督)だったり、青野(慎也)コーチのことはリスペクト・感謝しているので、その恩を仇で返すことはしたくなかった」と、その理由を明かしていた。
1日の練習後、あらためてその話を聞くと、「最初は(ゴールを決めたら)思い切り喜んでやろうと思っていた。でも、いざ決めたらやっぱり喜ぶのは失礼だと思い、自然と感情を抑えてしまっていた」と話す。
実は玉林、かつて3シーズンを過ごした古巣・岡山とのアウェイ戦(15年6月21日の第19節/1◯2)でもゴールを決めているが、その際も「自分は岡山の人たちに育ててもらったので」とゴール直後に白い歯を見せなかった。受けた恩に背かない義理堅い気持ちが、アスリートとして爆発する気持ちを上回る。それが玉林睦実という男なのだ。
今節、愛媛はアウェイで横浜FCと対戦するが、「次決めたら全力で喜びたい」とニコリ。チームメートと喜び合うことを誓った。
写真・松本隆志
(愛媛担当 松本隆志)
2017/05/02 18:39