日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が14日、翌日に控えるロシアW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦(埼玉)に向けた前日会見を行った。
現在勝ち点7でグループ3位につける日本。対するサウジアラビアは勝ち点10で首位を走っている。この試合に勝てば、日本は首位浮上の可能性があり、反対に敗れればサウジアラビアとの勝ち点差は『6』にまで開いてしまう。負けた場合は、W杯の出場権利が得られるグループ2位以内を目指す上で、かなり厳しい情勢になってしまうことは確実だ。
ハリルホジッチ監督は、中東の雄・サウジアラビアについてこう語る。
「ここ数年のサウジアラビアは力が伸びてきている。特にフィジカル面、タクティクス(戦術)、個人のクオリティーも伸びている。さらにここ数年の日本が持っていないフットボールインテリジェンスを使って、ファウルを誘ってくる。そうした罠に引っかからないようにしないといけない」
また、サウジアラビア戦は足首を痛める香川真司、そして11日のオマーン戦(親善試合)でのプレーに指揮官から不満の声が飛んだ本田圭佑がベンチスタートになる可能性がある。それについて質問が飛ぶと、「ハハハ」と笑いながら指揮官は語りだした。
「決断はいろいろとしないといけないということです。何人かの選手は所属クラブでのプレー回数を増やしてほしい。彼らもロボットではないので、このままではトップパフォーマンスにはならない。けががあった選手もいて、練習しながら治療もして、ディスカッションもした。ただ、チームは11人の先発だけで決まるものではない。例えばサウジアラビアの場合は、毎試合最後に勝つ。それは交代選手のおかげで、彼らが違いを生んでいる。われわれには今回25人の選手がいて、先発はより良い選手を選ぶ。ただ、交代選手がリザーブというわけではない。ジョーカーであり、それはより良い結果で試合を終えるための選択。ただトップパフォーマンスではない選手がいるのは確か。何人かの選手はしっかりとプレー回数を増やして、代表に来てほしいということは変わらない」
交代選手の価値をことさら強調していたあたりは、今回の一戦で本田らをスタメンから外した場合のチームマネジメントの一環にも映る。やはりサウジアラビア戦は、これまで日本をけん引してきた本田や香川らが、ベンチに座ることになる可能性が高い。
先月のアウェイ・豪州戦は守備的な戦いで引き分けに持ち込んだ。今回も負けられない一戦で現実的な戦いを演じるのかという質問に対しては、こう答えている。
「オーストラリア戦は特別な試合だった。選手の状態も考慮して、慎重な戦術で戦った。ただ勝たないためではない。勝つための慎重さだった。今回のサウジアラビア戦は違う戦術になると思う。われわれのホームゲームなので、攻撃して点を取りたい。ただ、繰り返すが相手の罠にハマってはいけない。相手には3、4人、速攻がうまい選手がいる。組織を崩すことなく、カウンターをさせないことが大事になってくる」
負ければ進退問題が再燃することが必至なサウジアラビア戦。ハリルホジッチ監督は万全な準備とともに、“主力外し”という大きな決断を下した上で、勝負の一戦を迎えることになる。
(日本代表担当 西川結城)
2016/11/14 21:15