16日に開幕するイングランド・プレミアリーグ。フットボールの母国のトップリーグは、世界で10億人以上が視聴すると言われる世界最高峰のリーグだ。約2年サウザンプトンに所属した浦和の李忠成が語るイングランド・フットボール。肌で感じたカルチャー、ピッチ上の熾烈な競争、そしてビッグクラブに移籍していったチームメートたち。自らが「財産」と言うほどの大きな影響をもたらした英国での経験をもとに、今季のプレミアリーグを展望してもらった。
聞き手:菊地 正典 取材日:7月28日(月)
Photo: Yoichi iwata
「暑いですね。でも、少しずつ慣れてきました。最初はキツかったです。リーグ再開の新潟戦は暑過ぎてかなり苦しかった(苦笑)」
「日本に帰って来てまだ半年ですからね。ちょっとまだ難しいところはあります」
「全部違います。たとえばいまの話のとおり気候です。これだけ湿気があるのはイングランドでは考えられない。それから根本的に“人”が違う。外国人はあまり他人に干渉しませんし、サッカー選手をリスペクトしています。見方の感性が全然違います。生活の部分から違いますね」
「違いますね。イングランドではフットボールプレーヤーのプライオリティーが高いし、すごくリスペクトされています。そのぶん、選手も自分自身に責任と誇りを持っていますし、取り巻く環境も欧州はすごいと思いました」
「昔からプロリーグがありましたからね。TVがない時代からエンターテインメントはフットボールだったと思いますし。日本もそういうところはあると思います。たとえば広島は(戦後、原爆被害からの)復興と同時に広島東洋カープができて、地域に密着していったと思います。日本では、国と同時に成長していったようなところがあるので、やっぱり野球は強いと思います。それが欧州はフットボールだったと感じました」
「感じました。特にイングランドは、見方が“エンターテインメント”という感じではないんです。生活の一部というか、真剣にサッカーを見ている。たとえばプレー中に一瞬、観客席を見ると本当に真剣な眼差しを感じるし、それがスタジアムの雰囲気を作っています。日本はどちらかというとドイツに近いかなと思います」
「サッカー発祥の国ですからね。その国に2年間いることができて、自分の人生にもプラスだったと思います。人生は1回しかない中で、あの国に行けたことは自分の中の財産です」
「行きたかったのはイングランド、ドイツ、スペイン、フランスです。その4つのどこかでプレーしたいと思っていました。英語が使える国に行けたらいいなとも考えていたので、英語圏の国だったらそれ以上のことはない、という中で当時チャンピオンシップ(2部相当)だったサウザンプトンからオファーが来て、イングランドでプレーすることになりました」
「ベストでした。行ってみてサッカー観も人生観も変わりましたし」
(BLOGOLA編集部)
2014/08/15 18:00