「やっぱり得点です。イングランド・プレミアリーグが世界一のリーグだなと思ったのは、まずは資金力が違うこと。だから獲得した選手を最初は出すのですが、ちょっとでも活躍できないとまた違う選手を獲ってくる。『その選手を1年間は使い続けよう』といったことはほとんどなくて、ダメなら半年で見切りをつけて違う選手を世界から集めてきます。そのスピードがものすごく速いと思いました」
「水物ですからね」
「遅い早いは関係なく、スタートから乗ることがあのリーグでは不可欠です。ずっとレギュラーでいる選手はずっとマックスに近い調子でプレーを続けているので、本当にすごいと思います。ちょっとでも落ちたらベンチ外になってしまうし、それこそ放出されます。そこでやり続けるFWは本当にすごい。厳しいリーグですが、だからこそ、そこで続けられれば価値も上がります。分かりやすいです。とにかく結果なので」
「FWにリッキー・ランバートという選手がいたのですが、すごくうまいんです。日本で言うJFL(4部相当)から叩き上げで来た選手です。3部で得点王とMVPになって、2部でも得点王とMVPになって、それからプレミアに行って。それこそイングランド代表にもなりましたし、今季からリバプールでプレーします。彼はとんでもない(笑)。なんでこんな選手が(2部に)いるんだろうと思いました。そして聞いたら昔は工場で働きながらサッカーをやっていたというし、元々はボランチでプレーしていたと言うし、すごい選手だなと。僕が会ったときはすでに30歳でした。年齢を考えれば素晴らしい選手だけど代表はないかな、と思っていたら2年後に代表に入っていました(笑)。そして初出場の親善試合で、ファーストタッチでヘディングでゴールを決めちゃうし、次の年にはリバプールに移籍しちゃうし。彼はリバプール出身なので、リバプールの街自体を尊敬していました。クラブに対しても幼いころから憧れだったという話を聞いていたので、僕もうれしいです」
「あります。ハイボールの処理の仕方とか。とてつもないですから。日本に来たら50点ぐらい取るんじゃないですかね。冗談じゃなくて本当に思います」
「すべてがうまいです。シュートもめちゃめちゃうまいです。宮市(宮市亮/アーセナル)と話していて、『アーセナルの中で誰がうまい?』と聞いたことがあるのですが、当時はファン・ペルシーがいて『シュートがうまい。飛び抜けてる』と言っていましたが、サウザンプトンでは間違いなくリッキーでした。FKも蹴れますし、ヘディングもできるし、ビックリしました」
「ナイジェルもそうですが、ポチェッティーノはより組織的でした。練習から相手の攻撃の仕方を防ぐフォーメーション練習だったり、スカウティングで相手の穴を見付けてそこを徹底的に狙う練習だったり、型にハメた練習がすごく多くて。あとは実戦形式です。水曜日は絶対に紅白戦を30分ハーフぐらいでやるし、ちょっと日本とは違いました。もちろん、いまのミシャ(ペトロヴィッチ監督)からも日々学んでいます。
彼も独特ですから。この練習を外国人がやったら面白いんじゃないかなとも思います」
「違います(笑)」
「どちらが良いんでしょう。本当に分からないです。そもそも日本のサッカーはどこから学んだんだろう? と考えることがあります。単純な疑問として。誰からどう学んだんだろうと。日本は下部組織から結構、練習方法が似ているじゃないですか? 自分は幼稚園からサッカーをしていて、FC東京のユースでもプレーしましたが、練習の仕方だったり、中学、高校のトレセンだったり、結構指導法が似ているんですよね。サウザンプトンはアカデミーが結構すごいんです、それこそガレス・ベイルとか、チェンバレン、ウォルコット、アダム・ララーナとかがプレーしていたところなので。一緒にやっていたララーナに下部組織でどういう練習をしていたか聞いたら、とにかく1対1と実戦形式だと。フォーメーション練習はほとんどやらない。あとは100m走とか。とにかく競争させるのが多いという話でした。自分はそういった練習はあまりなかった
なと思います。最近は1対1もやるみたいですが、昔は組織的な練習も多かった。どちらが良いかは分かりませんが、イングランドはそのようです」
(BLOGOLA編集部)
2014/08/15 18:00