前節の湘南戦(0●2)を振り返っていた柱谷幸一監督が、少し興奮気味に話し始めた。
「そういえば、カズヤ(前田和哉)のあのプレーを見ましたか? 『あっ、ジダンがいる!』と思っちゃいましたよ」
指揮官が話したのは、湘南戦で攻撃参加をした前田がジネディーヌ・ジダンが得意とした『マルセイユ・ルーレット(※ジダンがマルセイユ出身であることからのネーミング)』というフェイントで相手を見事にかわして好機を演出したシーンだった。確かにCBとは思えないようなキレがあった。柱谷監督の言葉とともにその話を向けると、前田は少し照れながらこう言った。
「人生で一度あるかないかのプレーを出しちゃいましたね」
そう言いながら冷静な分析も忘れなかった。
「チームメートのカバーとか、ポジショニングが良くなっているから、僕もあんなふうに思い切って攻撃参加できるんですよね」
チームが確実に成長しているということは、今後も攻撃面での素晴らしいプレーが期待できるのでは?、と振ると、前田はこう言った。
「もっとジダンのプレーを研究しなくちゃ!」
ちなみに、クラブ事務所のTVで前田の“マルセイユ・ルーレット”を見ていたクラブスタッフからは「あっ、和歌山ルーレットだ(前田は和歌山出身)」との声が上がったとか。
(北九州担当 島田徹)
2014/07/02 17:48