最終節の松本戦はスコアレスドローながら、互いに存分に戦った好試合でした。
松本には大分から期限付き移籍中の藤川祐司選手が在籍しています。契約の関係で残念ながら対戦できませんでしたが、試合前に会った藤川選手は「この状況で大分と戦うのは複雑な気持ちだったから、かえって出られなくて良かったです」と胸のうちを明かしてくれました。
2010年に大分でプレーした益山司選手も試合後、千葉時代の大先輩・村井慎二選手にあいさつに来ました。益山選手と言えば誰もが認める超天然ボケ型好青年。独特のリズムやテンポで世界に接している者同士、コミュニケーションはちゃんと成り立つのだろうかと心配したのですが、なんと普通に会話していました。そればかりか益山選手は、記者の言葉不足を補完してくれるほど。その成長振りに、しっかり感銘を受けました。
さて、大分は6位で今季リーグを終え、昇格プレーオフに臨みます。準決勝の相手は京都。2009年10月24日J1第30節、J2降格が決まった西京極での対戦です。引き分け以下では駄目という条件も、あの日と同じ。
3年前、大分に引導を渡す同点弾を突き刺した林丈統選手が、今度は大分の選手としてこの戦いに臨みます。しばらく右内転筋などを痛めていましたが、今週初めから全体練習に復帰。本来ならば練習試合を経てからですが、「体がキレていて動きもいいので、様子を見ながら起用するかどうか考える」と田坂監督。林選手自身も「自分のゴールで降格させたので、今度はこの足で昇格させる。大分のために全力を尽くす」と約束してくれました。これは、もしかしたら、もしかするかも。
京都は技術レベルの高いチームです。難しい試合になるでしょう。でも田坂監督は言いました。「確かに京都はうまい。だが、サッカーはうまいチームが勝つわけではない。強いチームが勝つんです。もちろん相手をリスペクトはするが、ウチは“強いチーム”として強い気持ちで戦う」。そのほかにも戦術的なことや精神面のことをたくさん話していただきましたが、ええと、要約すると「京都はうまいけどウチが勝つ」でいいですか。
もう少し書くと、永芳卓磨選手や丸谷拓也選手ら運動量豊富な選手をシャドーに置いたことで、全体の運動量が向上したのが、リーグ終盤の好調の要因だと監督はとらえているようです。「ウチは走ってナンボのチームですから」。
スモールフィールドを超高速で正確無比に回されるパスをインターセプトし、京都ゴールに一撃をお見舞いするために、走りましょう大分の戦士たち。ピッチ上のすべてが奪いどころです。サポーターは3年前の高松大樹選手の涙を忘れません。「降格したときのメンバーはもうほとんどいないけど、あの日のみんなの悔しさも背負って戦う」と、高松選手は言いました。因縁の地・西京極へ。リベンジの舞台は整いました。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/11/16 19:14