前節から今季後半戦がスタートしました。第21節北九州戦で全治5ヶ月の怪我を負ったイ・ドンミョン選手のほかに、今節の草津戦では三平和司選手と村井慎二選手が累積警告で出場停止。梅雨の湿気と暑さでピッチコンディションも悪いなか、この激烈な混戦を勝ち抜いてゆくには、体調管理とモチベーション維持が欠かせません。
今週のミニゲームや紅白戦では、意外な選手の意外なポジション起用がありました。それ以外にも、ちょっとずつ本来の持ち場をずらしてみたり、組み合わせを変えてみたり。これは次節の相手を想定した布陣なのか、本気のポジションコンバートなのか。トップから最終ラインまでこなしてしまうイ・ドンミョン選手ばりのユーティリティプレーヤーを、また新たに育てるつもりなのかも…と、ちょいと色めき立ちました。
練習終了後に田坂監督に聞いてみたところ、やはり次節の対戦相手を想定したのではなく、それぞれの選手の新たな一面を引き出そうとする試みだったようでした。その選手の本来のポジションでのプレーがよくないということではなく、彼の特徴を別の角度から生かすために、まったく違うポジションで使ってみたとのこと。こういう試みを行うと、選手自身も普段とはまったく違う景色を見ることになり、新鮮な気持ちでサッカーと向きあえることでしょう。
また、組織としての戦いかたも、シーズン序盤とは変わってきています。試合をよく観ていればわかると思いますが、攻撃時の位置取りが違う。最近の練習では、以前に比べて監督の指示が細かく具体的になり、スペースの埋めかたや相手の動きなどを何パターンもシミュレーションしてゲームに落とし込んでいるようです。と言っても、型に嵌めてしまわないように、複数の選択肢を示し、ピッチで選手たちが判断するやりかたで。こういうことができるのも、ここまで続けてきたことが、きちんと生きて積み重なっているからなのですね。
疲労が溜まりやすい夏は特に、戦術だけでなく戦力管理やシーズン終盤に向けてのプランニングも、指揮官の腕の見せどころ。しかもクラブはその存続をかけて、シビアにJ1昇格を目指しています。2季目も半ばを迎えた若き知将が立ち向かう、ハードな日々。選手もスタッフもいい緊張感を維持しながら、大分の歴史を刻んでいます。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/07/06 17:02