11月11日、栃木の2012年シーズン最終戦は黒星、そして11位という結果で幕を閉じました。激闘を終えた宇都宮の空は、灰色の雨雲が広がっていました。
悔やみ切れない思いは、強く、強く、募ります。しかし、それは、相手を圧倒しながらホーム最終戦に敗れたからであり、終盤まで昇格を争っていたからこそ。「栃木はまだJ1の経験がないクラブ。J1、プレーオフを争っていた他のチームは、J1の経験がある。その中でJ1の経験がないチームが戦っていたということが大切だと思う」。だからこそ、主将がつむいだこの言葉を、来年以降に必ず生かさなければなりません。多くの選手の口から「今年が一番強い」という言葉が聞かれたように、チームは間違いなく進化したのですから。
菅選手は反省と悔しさをにじませたあと、感謝の言葉を口にしていました。「栃木は間違いなく上に行ける。僕はこのチームに移籍してきて1年目ですけど、本当に最高のメンバーでした。残念ながらこのメンバーでサッカーをすることはないと思いますけど、このチームに誇りを持って、これからのサッカー人生をやっていきたいと思います」。栃木の挑戦は、来年も続きます。
GK1 柴崎邦博選手
「武田の負傷時、その穴を埋められたのは練習から人一倍声を張り上げていたからだろう」
DF2 西澤代志也選手
「『自分は自分でしかない』と、ボランチでも生きる攻撃センスは特に終盤戦で重宝された」
DF4 大和田真史選手
「気迫あふれる守備もさることながら、第36節・甲府戦では執念のダイナマイトヘッドをブチ込む」
MF5 鈴木修人選手
「キック精度の高さはピカイチ。7月には第一子が誕生し、ゆりかごダンスの祝福には笑顔」
DF6 當間建文選手
「試合を重ねることでディフェンスリーダーに成長。鹿島のときよりも、『1年が早かった』という」
MF7 パウリーニョ選手
「『栃木のために』、完全移籍。愛と闘志を兼ね備える主将は、ピッチ内外で別格の存在だった」
FW8 廣瀬浩二選手
「エースに進化した今季、目標の2桁得点を達成。しつこい守備でも何度チームを助けたことか」
FW9 サビア選手
「『チームのためだよ』。第40節・松本戦の2点目を生んだ70mドリブルは彼にしかできない神業」
MF10 高木和正選手
「負けん気の強さはチーム1。終盤戦は練習が終わっても、たった一人でミドルを繰り返していた」
MF11 河原和寿選手
「日々つむがれる言葉からは、苦境を抜け出そうとする努力があったことがひしひしと感じられた」
MF13 本橋卓巳選手
「負傷と復帰を繰り返す苦悩の1年だったが、試合でも練習でも、いぶし銀の働きを見せていた」
MF14 菅和範選手
「いつ何時も、絶対に弱気な発言をしない好漢。その気持ちの強さこそ、チームに不可欠だった」
MF15 荒堀謙次選手
「彼の華麗なドリブルがなければ、少なくともチーム史上初めて東京Vを破ることはできなかった」
MF16 杉本真選手
「第32節・横浜FC戦の先制弾で得点センスの高さを証明。生え抜きの活躍は来年も欠かせない」
DF17 山形辰徳選手
「左右どちらもこなせる器用さに加え、兄貴的存在としても、多くの選手から信頼は厚かった」
DF19 赤井秀行選手
「今季唯一の得点は、またも大分戦。通算4得点のうち3得点が大分戦。不思議だ」
FW20 佐々木竜太選手
「途中加入の難しさに悩んでいたことは知っているし、『何より練習の姿勢がいい』と指揮官」
GK21 武田博行選手
「PKストップでグリスタを沸かせた第6節・千葉戦。あの興奮は、いまでも覚えている」
FW22 棗佑喜選手
「負傷して調子を落としてしまったが、がむしゃらなプレーは多くの人の心をつかんだはずだ」
DF23 柳川雅樹選手
「DFながらパスの正確性は抜群。試合の出番が少なくとも、練習では黙々とアピールを続けた」
DF24 ユデヒョン選手
「練習で見せるスピードあふれる突破、第6節・千葉戦での闘志あふれるプレーに、何度もしびれた」
MF25 小野寺達也選手
「菊岡の加入に触発され、監督に『今季一番成長した』と称された。地元の町田でプロ初ゴールも」
DF26 宇佐美宏和選手
「『今年出られなかったらヤバい』と並々ならぬ思いで臨んだ今季は、最終ラインの核として結実」
GK27 鈴木智幸選手
「けがに苦しんだが、その強心臓とキック精度は、出番が回ってきた終盤戦で淡々と見せつけた」
MF28 菊岡拓朗選手
「チームのランクを引き上げた司令塔。第26節・水戸戦では圧巻の直接FKをねじ込んだ」
MF29 チャヨンファン選手
「CBで生きたそのパワーは、負傷中も毎日一人でジムに通い続けたストイックさのたまものだ」
DF30 田中雄大選手
「誰よりも遅くまで居残り練習に励んでいた。左足のキック精度はもはやJ2レベルではない」
FW38 久木野聡選手
「『(今季は)本当に何もしていなかった』 。最終節、執念の同点弾をたたき込んでついに破顔」
松田浩監督(閉幕セレモニーにて)
「今年も、聞きなれた栃木SCコールを聞くたびに勇気付けられました。今年もJ1へということで戦ってきましたが、みなさんの期待に応えられず、監督として非常に大きな責任を感じています。本当に申し訳ございません。悔しく歯がゆい思いをさせてしまいました。しかし、長いシーズンを戦う中で、栃木はJ1に上がらなきゃいけないクラブだとあらためて感じました。この苦い思いは来年以降に必ず生かさなければなりません」
(栃木担当 村本裕太)
2012/11/13 23:11