かつて3シーズンにわたってプレーをした湘南との古巣戦に向け、MF馬場賢治の心中は穏やかではない。
「正直なところ複雑ですね」
馬場自身がそう話すのも無理はない。彼にとって湘南は単なる古巣ではなく、生まれ育った土地の憧れのクラブであるからだ。
「ベルマーレという名前になる前のJFLのときから応援していたし、ここ(讃岐の試合)に応援しに来てくれている少年のように、僕もベルマーレのサポーターだった」
あまりの思いの強さからか、10年に神戸から湘南に期限付き移籍をした際にも「(実際に自分が湘南でプレーすることに)何か変な気持ちがあった」というほど憧れの気持ちを抱いているが、今節はその「いまでも(気持ちは)サポーター」というチームを、サッカー人生で初めて敵に回して戦うことになる。
もちろん、だからと言って馬場がこの試合で湘南相手に手心を加えることはなく、自身の全力で戦うファイトスタイルを貫くはず。何より、その戦うマインドを厳しく叩き込んでくれたのは湘南・曺貴裁監督にほかならない。
馬場は当時受けた曺監督の指導を「本当に厳しかった」と苦しい日々を振り返る反面、「いまでも一番尊敬する指導者だし、一番自分が刺激を受けた指導者。自分が指導者になるならああいうベースを持ってやると思う」と最大限にリスペクトしている。
そんな慕う師の前で「まだまだやれているというところを」と背番号11。自身の持つ最大限のパフォーマンスを見せるとともに、“讃岐の馬場”としてチームの今季初勝利のために全身全霊のファイトを見せてくれるはずだ。
(讃岐担当 松本隆志)
2017/03/30 20:13