2011年3月11日の東日本大震災後、いまに至るまで復興のシンボルとして戦い続けるベガルタ仙台。2月23日に発売したEG BOOKS『在る光 ~3.11からのベガルタ仙台~』はチームを密着取材してきたエルゴラッソの番記者が、その語り継ぐべき物語を綴ったものだ。
震災から6年、今週末に3.11を迎える。今回の連載では、書籍の著者である板垣晴朗に、6年前からいまに受け継がれるベガルタ仙台の使命についてあらためて記してもらった。
2017年の3月11日に開催されるJ1第3節・仙台vs神戸に向けて、仙台の背番号10、リャン・ヨンギは「特別な日で、特別な試合になります。ホームでしっかり戦って、勝つ姿を見せられるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。
6年前の3月11日、試合前日だったその時の14時46分。彼は運転中に被災した。それからチームとともに復興支援活動をしながら強くなるための努力を続け、いまに至る。彼はいまではチーム内に少なくなった被災経験を持つ選手であり、また中学生の時に阪神・淡路大震災を経験した選手でもある。
リャンはチームが復興のシンボルで在り続けるために、「ボールに食らいつく姿勢や、あきらめない姿勢」を見せ続けることを前提として、「リーグ戦で結果を出し続けたい」と上を向く。その言葉の背景には、タイトルへの強い思いがある。
「11年と12年に僕たちは上位に食い込んだのですが、その時に仙台を盛り上げることができたとは思っています」
12年6月1日に宮城県七ヶ浜町で復興支援活動を行っていたころ(写真上)、リャンは自身初めてという長期離脱から復帰してポジション争いの中にあった時期だった。この年、チームはJ1リーグ戦でクラブ史上初めて優勝争いを演じ、最終的にクラブ史上最高の2位という成績を収めた。
「ここ数年はJ1残留争いをしているので、ここでもう一度上位に食い込んで、東北を盛り上げることができるようになりたい」。いまの仙台は14年4月より指揮を執る渡邉晋監督のもとで、12年当時よりさらに強くなるためのスタイルを作っているところだ。優勝争いをしていたときも、残留争いに巻き込まれたときも、仙台が被災地にとって“希望の光”になるため、ひたむきなプレーを目指すことは変わらない。その上で、前よりも強くなり、さらに高い場所を目指している。
あれから6年――時が経ち、選手が入れ替わっても、
このクラブが背負う使命は変わらない。
『在る光』
3.11からのベガルタ仙台
著者:板垣晴朗
定価:本体1,600円+税 判型:四六判 頁数:272頁
2月23日発売
ISBN 978-4-908324-19-2
アマゾンで購入する
(仙台担当 板垣晴朗)
2017/03/10 21:29