C大阪にとっての激動の2シーズン(2014-2015)と再起の序章を描いた『桜は、かならず返り咲く』が2月24日に発売。ブロゴラでは本書の発売記念企画として、短期集中連載を掲載してきた。最終回は山口蛍から柿谷曜一朗へと受け継がれたものについて。
2015年、山口蛍はJ2と日本代表の二足の草鞋を履いて戦った。
C大阪では序盤は「サッカー人生で初」(山口)となるアンカーを務め、攻撃時は左右にパスを散らし、守備時はサイドバックの裏を含めて中盤に生まれるスペースをケアした。
ハリルホジッチ新体制として発足当初から呼ばれ続けた代表では、初招集された後、「ボールを取りに行って、取り切る強さを監督からは強く求められた。それは共感する部分であり、セレッソに足りない部分」と語り、代表から戻ってきた練習の中では、プレスが甘い選手に対して「(もっとプレスに)行け!」という山口の指示が日常的に響くこととなった。
また、日本に対して守備を固めてくるアジア各国との対戦に対して、ハリルホジッチ監督が「ミドルシュートの重要性」を説くと、C大阪での練習後に扇原貴宏らを捕まえて、何本となくシュートを打ち込む山口の姿もあった。第30節の大分戦(3○1)では、CKから直接、ボレーシュートも決めている。
クラブで、代表で、与えられた環境で自らの力を伸ばすべく懸命に戦い抜いた2015シーズが終わった後も、12月下旬にベトナムU-23代表とのヤンマーカップが控える若手選手が練習に励んでいた自主トレ期間で、山口はただ一人、若手に交じってフル参戦。アカデミーの後輩である阪本将基はこの時間を振り返って、「これだけ蛍くんと一緒に練習できたのは初めて。すごく楽しかった。こういう練習でも100%ストイックにやる姿は見習わないといけない」と感慨深げに語った。ドイツに旅立つその日まで、山口は自身の生き様をC大阪に残していったのだ。
2014、15シーズン。C大阪にとって激動のこの2年、山口が付けていたキャプテンマークは、今季から、盟友である柿谷曜一朗が継承することとなった。
「海外で頑張っている蛍に、良い報告ができるように」
アカデミーの先輩は、そう誓う。背中で見せ続けた背番号6の魂は背番号8に受け継がれ、今季も確かにC大阪に息づいている。
※本書の中で、山口のドイツへの出発日を2016年1月4日と記しておりますが、正しくは1月3日です。お詫びして、訂正いたします。
『桜は、かならず返り咲く』
セレッソ大阪、激動の2年と再起の始まり
好評発売中
定価:本体1,600円+税 判型:四六判 頁数:256頁
ISBN 978-4-908324-06-2
(BLOGOLA編集部)
2016/02/25 07:00