関東大学サッカーリーグをもっと知ってもらうために、OB選手が大学時代を振り返る連載企画。12回目の今回は法政大OBの本田拓也が大学サッカーを語ってくれた。
――大学サッカーを選んだ理由は?
「高校を卒業するときに、プロからの誘いは一つあったか、なかったぐらいだったんですよ。それで、うちの高校の監督が大学進学を勧めてくれました。本当は駒澤大学に行こうかと思ったのですが、願書をもらっていなくて……。当時は関東2部だったけれど、実家からも近いということが決め手になって法政大学にしました(笑)。高校を卒業してプロに入っても活躍できる自信もなかったし、4年間自分を見つめ直すのも大事なことなのかなと思いました。あとは、勉強ができるというところもありますよね。法政なんて、サッカーをやっていなかったら入れなかったし(笑)」
――尊敬する指導者に、法政時代に監督を務めていた川勝良一さん(現・サッカー解説者)を挙げています。
「プロで監督をやっていた人に指導してもらえれば、プロに近いレベルでサッカーができるのではないか、そしてその環境で練習をしていれば、確実に自分の成長につながると思っていました。川勝さんには、『うまいだけじゃダメだ! 強くなければ』ということをよく言われていました。あとは『さぼったらすぐに分かる』と。それでよく怒られました(笑)。本当に気が抜けませんでした」
――清水加入時に監督を務めていた長谷川健太監督(現・G大阪監督)と、川勝監督はどちらが怖かったですか?
「良い勝負だけど、たぶん川勝さんかな(笑)。練習のピリピリ感が違いますから。普段は本当に優しい人だけど、サッカーになると怖いです」
――法政大学のサッカー部の練習はどうでした?
「いまは分からないですが(現在は人工芝)、環境面でいうと土のグラウンドというのがちょっと大変でした。川勝さんは本当に厳しかったですよ。練習時間は、2時間か2時間半くらいでした。でも、大学の授業が終わってからだから、16時くらいから18時半くらいまで練習していました」
――学業とサッカーの両立は大変でしたか?
「大変でした。現代福祉学部現代福祉学科というところにいたのですが、座学はやっていましたけど、実習などはなかなか参加できませんでした。あとは、教職課程を取りたかったのですが、土曜日の授業は行けなかったですね。大学に入って良かったのは、サッカー以外の友達ができたこと。いろいろな人に会って、モノの見方や、考え方を学ぶことができたと思います」
――大学時代で一番印象に残っている試合はありますか?
「4年生の時のインカレ決勝です。相手は早稲田大でした。最後の大会の、最後の試合。そこで勝てなかったのは本当に悔しかったですね(※)。試合内容は五分五分くらいだったけれど、こぼれ球を決められたのかな。こっちにもチャンスがあったけれど、決められなくて。4年間頑張ってきて最後の試合だったから、本当に悔しかったです」
※2-0で早稲田大が勝利。法政大のメンバーには土岐田洸平(現・町田)、菊岡拓朗(現・札幌)、福田俊介(現・大宮)が、早稲田大のメンバーには横山知伸(現・大宮)、兵藤慎剛(現・横浜FM)、渡邉千真(現・神戸)などがいた。
――その悔しさをもってプロになりました。
「インカレの決勝が1月13日で、エスパルスの始動が1月25日くらいだったのかな。ほとんど休みがないままプロに入った感じでした。だから、みんなよりも体ができているんじゃないかと思うほど、体が動きました。それが1年目の活躍につながったかもしれないですね(笑)。大学サッカーを真剣にやっていたから、プロの世界にうまく入れたと思います」
――大学サッカーの良さはどんなところにありますか?
「大学サッカーは高校サッカーよりもレベルは高いと思いますし、みんなガムシャラに頑張っていると思います。その真剣さを観てほしいです。あとは、いまの大学サッカーはどこが勝つか分からない、実力が均衡しているというところも面白いと思います。自分たちの時代は関東勢が強かったけれど、今は関西勢が強かったり、九州勢が強かったりします。いまは色々なチームに良い選手が散らばっているので観ていても楽しいと思います。選手一人ひとりの能力は高い。大学のチームと練習試合をしていても面白い選手はたくさんいますから」
9月26日(土)、27日(日)はJR東日本カップ2015第89回関東大学サッカーリーグの第15節。詳しくは(一財)関東大学サッカー連盟オフィシャルサイトへ!
(聞き手:清水担当・田中芳樹)
(BLOGOLA編集部)
2015/09/23 15:00