18日の練習後、グラウンドの片隅で一人ストレッチをする小野寺達也に杉本真が近づいていって雑談を交わす一幕があった。二人は拓殖大学の同期で、栃木SCも2010年の同期加入。もう10年近く一緒にサッカーをする戦友だ。これまでも幾度となく繰り返されてきた場面ではあったが、
「あのPKはさ」
杉本がそう切り出すのがわかった。小野寺がその言葉に反応し、少し微笑んだ、ように見えた。
前節(明治安田J2第2節・横浜FC戦/1△1)、トップ下の杉本は57分に鮮やかな同点ゴールを奪った。一方、廣瀬浩二からキャプテンマークを譲り受けたボランチの小野寺は、同点のまま迎えた終了間際のPKを失敗。頭を抱えてその場にうずくまっていた。
ほんの3分ほどの雑談だっただろうか。杉本がその場を離れていく。帰り際に杉本を捕まえた。
「あのPKを蹴るのはゴールを奪う人間の仕事だと思ったから伝えたんです。『次、達也がPKを奪ったら俺に蹴らせてくれ』って」
(栃木担当 鈴木康浩)
2015/03/18 17:11