パス15本で崩した、ビューティフルゴールだった。3日のAFCチャンピオンズリーグ・グループE第2節。2-0とビン・ズオンをリードした柏は56分、右SBキム・チャンスの攻め上がりから追加点を挙げた。
クリスティアーノが右サイドで相手のミスパスを奪うと、柏はそこから大谷秀和→茨田陽生→大谷→茨田→山中亮輔→エドゥアルド→鈴木大輔→大谷→太田徹郎→大津祐樹→山中→大谷→クリスティアーノ→茨田と全員が2タッチ以内でボールを動かした。前後左右にボールを動かして相手を振り回すと、最後は茨田が1タッチのスルーパスを通し、キム・チャンスがゴール右に抜け出して流し込んだ。
この試合で2点を挙げつつ、この場面は一度もボールに触らず“オトリ”に徹していた工藤壮人だが、「(ボランチの)3人のところにスペースがあって、いいパスを出してもらえる時間を作れるかが大事」と得点につながったイメージを説明する。この場面は確かに、フリーで前を向いた茨田が最高のパスを通した。工藤は加えて「クリスティアーノや(大津)祐樹が、上手くインサイドに入ってきて、タメを作った」とも分析する。柏はパスを重んじるチームだが、決してそれ“だけ”ではない。スペースを空ける動き、時間を作る動きがあるからこそ、得点につながる隙が生まれる。単にボールをつないだというのみでなく、味方の作ったスペースと時間を使って生まれたゴールだった。
「今までキャンプからやってきたけれど、目に見えるゴールは無かった。あれが最終的なものなんだなと、みんなの自信になった」と工藤は言う。今季の公式戦3戦目にして生まれた、太陽王の理想的なゴールだった。
(柏担当 大島和人)
2015/03/05 20:37