FC町田ゼルビアは26日(月)、前東京ヴェルディコーチで、元日本代表DF秋田豊氏の新監督就任を発表。本日27日(火)には小野路公園グラウンドで初日のトレーニングが行われました。
強風が吹き荒れる中、チームはフィジカルトレーニングやハーフコートでの3対3などのメニューをこなし、約1時間30分汗を流しました。秋田新監督はときおり選手とコミュニケーションを図りながら練習を指揮。ハーフコートでの3対3では選手を8グループに分け、2つのコートを使いながら1本40秒のゲームを各組が10本以上行いました。素早い攻守の切り替えや豊富な運動量が求められるトレーニングは、ボールを使ったフィジカルの要素も十分に含まれており、「ゲームに必要なことすべてが詰まっていると思う」(田代真一選手)。また、鈴木孝司選手は「残り10秒の運動量の重要性、判断の速さ、技術などいろいろと自分に足りないことが分かった。例えば1本のパスで勝負が決まるとか、秋田監督は1本の重要性について教えてくれた」と話すなど、選手たちは疲労感を抱えながらも充実した表情を浮かべていました。
トレーニングの終盤には守備陣と攻撃陣に分かれてトレーニングを実施。攻撃陣がコンビネーションからのシュート練習などを行う一方で、守備陣は秋田監督が現役時代に十八番だった“ヘディング”の技術を学ぶヘディング練習に取り組みました。まさに初日から、“秋田色”にあふれたトレーニングだと言えるでしょう。
この“ヘディング講座”開講の背景について、楠瀬直木強化・育成統括本部長兼強化部長は次のように話しています。「選手を集めたミーティングで、秋田監督が『オレってどういうサッカーをすると思う?』と聞いたら『ヘディング』、『ヘディング』、『ヘディング』(笑)と、みんなそれしか言わないんですよね。ならば仕方がないと、途中からFWとDFを分けて練習をやろうとなった。みんな『待ってました』ということで、ヘディングの練習をやった」。練習後、ヘディングの直接指導を受けたCBの副将・田代選手は「ユウジさん(中澤佑二選手/横浜FM)もヘディングはFWへのパスだと言っていたが、秋田監督もFW へスルーパスするイメージで、と話していた。二人とも言っていることの感覚が似ている。ヘディングの技術は自分に足らないことだから、早く身に付けたい」 と語り、ヘディング技術の習得に意欲を見せていました。
全体練習後は各々が居残り練習に取り組み、“秋田ゼルビア”初日のトレーニングが終了。翌28日(水)は同グラウンドで2部練習が行われる予定です。
秋田新監督は午前練習後に町田市役所へ移動し、新監督就任記者会見に出席。その席上、監督就任の経緯や新チームに懸ける意気込みなどを語りました。最後に記者会見での秋田監督のコメントの抜粋とその後の囲み取材でのコメント、そして初日の練習を終えて話を聞いた各選手のコメントをご紹介します。
■秋田 豊監督コメント
「今までゼルビアのサッカーを見てきましたが、過去3年間、すべて違うサッカーをやられてきたと思います。いいところは非常にあると思うので、ポゼションの部分や攻撃的なところを残しつつ、勝ち切るためには守備の構築とフィニッシュが足りていないと僕自身は分析しています。そこを強化していきたいなと思います。(JFLというカテゴリーについて)J1から2つ下がるカテゴリーなのですが、そんなに甘いリーグではないと思っています。もともとはJ2だったから優勝できるなんて、そんな甘いことは思っていない。夏には昼間の1時から試合がありますし、常に暑い中、コンディションや環境と苦しい場面は出てきます。日本代表のときでも中東に行けば同じような環境になりますし、その中で戦わなければいけなかった。そういう意味では同じなのかなと感じています。
(初日の練習を終えて)基本的にはフィジカルトレーニングという形で、ボールを使ったトレーニングをしたのですが、選手たちの反応が非常によく、1日という短い期間でも変化を見られたので、そういう意味ではすごく手ごたえを感じています。それは楠瀬さんが先週から指揮を執っていただいて、準備をしてくれた部分もあったと思います。(天皇杯・ガンバ大阪戦。秋田監督が就任したことでチームは変わりますか?)変わると思います。変わらないといけない。戦う姿を町田の子どもたちに見せたいと思うので、変わった姿を必ず見せたいですね。目標としてはプロである以上、JFLに落ちてもたとえ相手がバルサ(バルセロナ)であろうがレアル(・マドリー)であろうが、勝利にこだわりながら戦っていきたい。
(監督就任の決め手は?)下川社長がゼルビアのために熱い思いを持っていて、強くしたいという気持ちが伝わりました。それが一番の決め手です。高いモノを求めるチームだからこそ引き受けたし、クラブとしてのフィロソフィーを持っていなかったら引き受けていなかった。(ご自身のスタイルとは?)スタイルというと勝つために必要なことを判断できるか。町田と言えばポゼッションですが、ポゼッションできない時間帯にも相手をコントロールできるのか。たとえポゼッション率は相手に譲っても町田が持たせているんだよという展開に持っていったり、ポゼッションしているときは相手を振り回せるような形ができればいいと考えている。(戦況に応じた戦い方をするということでしょうか?)こちらからも(やり方の)オプションを与えることもあるし、判断するのは選手ですから、選手たちのポテンシャルを引き出す環境を作ることが僕の仕事だと思う。(コーチングスタッフの増員は?)楠瀬強化部長とも話しているが、それは未定。もちろんリクエストは出していきます」
■DF 5 田代 真一選手コメント
「(秋田監督の現役時代のイメージは?)ヘディングと守備のイメージが強い。ディフェンスの技術やメンタル面などを教わりたいと思う。(天皇杯までの期間について)天皇杯の準備のために時間を使うことはもちろん、約3週間で少しでも監督からいろいろなことを吸収したい。特に秋田監督はディフェンスの選手。吸収するということを大事にやっていきたい」
■FW 25 平本 一樹選手コメント
「個人的には休んでいたぶん、チームに合流してメニューを消化できて良かった。(秋田色の練習について)声を出してやれたし、ヘディングの練習をすることは聞いていたけど、本当にやるんだなと(苦笑)。リーグ戦では結局JFLに落ちていまはメンタル的にも厳しい。それでも頑張ることがこの状況で監督を引き受けてくれた秋田監督に対しての礼儀かなと思う。来月の天皇杯ではG大阪相手でも100%以上で挑めば結果は付いてくる」
■FW 7 勝又 慶典選手コメント
「秋田監督はこれから一生懸命戦っていこうと。オレにとっても挑戦だと話していました。練習中からいろいろなコミュニケーションを取ってくれた。3対3の練習でもあったように、切り替えて速く攻める、速く守ることはウチには必要だと思っていた。パスサッカー、ポゼッションの部分はもうクラブには植え付けられているし、そこは地盤としてある。その上に速く守る、速く攻めることを植え付けていければいい」
(町田担当 郡司聡)
2012/11/27 22:10