遠藤保仁や加地亮、明神智和らに代表されるように、背中で引っ張るタイプのベテラン選手が多いG大阪にあって、喜怒哀楽を全面ににじませる岩下敬輔は、独特のキャラクターだ。若手にも時に苦言を呈する手厳しい兄貴分だが、連勝中の2試合で鬼神のごとき存在感を発揮してきた。
「激痛だったし、血もすごかった。絶対に折れているなって」。
第12節・徳島戦(3○0)では、開始2分に相手との接触で鼻骨を骨折したが、ここからが強気な岩下の真骨頂。「相手は徳島で勝ち点3を取らないといけない試合。交代枠で一つ使うのはもったいないと思った。本当は前半で2、3点をリードしていれば交代したかったけど」。
ヘディングするたびに、衝撃が痛みとなって伝わってきたが、徳島戦と第13節・名古屋戦(2○1)では相手をまったく恐れることなく敢然と空中戦に挑んだ。
フェイスガードをつけて出場した名古屋戦を終えて、負傷箇所を手術。「まだ触るとヘコむぐらいフワフワしているので、1カ月ぐらいはフェイスガードが必要」と今節・FC東京戦もフェイスガード姿での出場となるが、岩下は「日ごろ、若手に言いたいことを言わせてもらっているぶん、僕も自分にプレッシャーをかけている」。
攻撃の覚醒がクローズアップされがちだが、最後尾で闘志をむき出しにしている“マスクマン”も、いまのG大阪には欠かせない存在である。
(G大阪担当 下薗昌記)
2014/05/14 22:22