時久省吾が見せたそれは、まさに神懸かり的だった。
昨季は9本のPKのシーンに立ち向かいながら、6度もPKを阻止。最終的にはその数字を下げてしまったが、シーズン途中までは7本中6本を止めるなど、驚がくのPK阻止率85.7%をマークし、良い意味でインターネット上をにぎわせた。
振り返れば「結果的にですけどね」と、高校・大学時代もPKを止めまくっていた時久。そんな背景を知ってか知らずか、ネットの書き込みにはPK専用GKとしてのW杯メンバー待望論もあった。
迎えた12日のW杯のメンバー発表。そのことを振ってみると、時久は「入らなかったですね…」とポツリ。これは冗談で、間髪入れずに「意識していたみたいな、ね(笑)」と加えると、「全然、意識してないよ(笑)」と笑みを見せた。
もちろん視線は先発奪取にある。今季は川口能活という壁に阻まれているが、負けるつもりはない。いまやラモス瑠偉監督が「(GKは)4人ともどこに行ってもレギュラーになれる力はあるのにな」と頭を抱えるように、すべてのGKスキルを高めるべく、日々の練習から淡々と牙を研いでいる。
(岐阜担当 村本裕太)
2014/05/14 17:18