5月上旬のある日、全体練習が終了した後、平秀斗が菊池忍コーチを連れ立ってクラブハウスの玄関口へと出てきた。
平は「走れる時間があるときは走っておこうと思って」と自主的に練習を行うためだった。鳥栖の練習場近くにはダムがあり、そこまでのランニングコースは鳥栖では定番になっている。
自動車免許を持たない平は、先輩たちの車に乗せてもらって寮と練習場を行き来しているために時間の有効活用という面では人一倍、神経を使っている。今季、チーム唯一の高卒ルーキーながら公式戦にもすでに出場を果たしており、順調にキャリアのステップを踏んでいるかのようにも見えるが、本人には危機感しかない。
「同世代でレギュラーで出てる選手はいる」と平は危機感の理由を話す。豊田陽平に日頃から指導を受けるなど、どん欲に吸収する姿勢が揺らぐことはない。努力する才能を持っている彼だけに再開後の飛躍に期待がかかる。
(鳥栖担当 杉山文宣)
2013/06/14 16:16