今季終盤を迎え、大分もチームとしての成熟度をぐっと増した感がある。相手の状態や変化を見ながら臨機応変にプレーを選択していくスタイルは、戦術浸透度とその練度を高めなくてはなかなか実現しづらいが、完成度を上げれば俄然、対戦相手から対策されにくくなる。
そのスタイルのキーマンの一人がMF小手川宏基だ。最近はトリプルボランチの一角ともシャドーともつかないファジーなポジショニングで相手に的を絞らせず、高い足元の技術をさりげなく生かしている。プレーに派手さはなくとも、チーム戦術体現には欠かせない。
29日に開催される明治安田J2第35節に対戦することになる水戸のMF木村祐志も、大分でプレーした13〜14年、そういう存在として活躍した。木村が大分に来た年に小手川が北九州に移籍したため、すれ違いでチームメートになったことはないが、ほかのメンバーも絡めてのプライベートでの交流は長い。木村は大分に来ても、また徳島に移籍してからしばらくも、髪を切る際にはお気に入りの北九州のヘアサロンまでわざわざ通っていたが、小手川も北九州時代にはそのサロンを利用していたという、割とどうでもいい共通点もあった。
その木村と過去、試合会場では顔を合わせながら、ピッチで対峙した記憶は「ない」という小手川。互いに相手の嫌なところを突きつつさりげなく主導権を手繰り寄せていく同士が、今節はついに同じピッチに立つ可能性が出てきた。細やかな策を用いる両軍のぶつかり合いの中で、細かすぎてわかりづらい駆け引きを制しに行く。
写真:ひぐらしひなつ
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2018/09/28 14:58