2011年3月11日の東日本大震災後、いまに至るまで復興のシンボルとして戦い続けるベガルタ仙台。2月23日に発売したEG BOOKS『在る光 ~3.11からのベガルタ仙台~』はチームを密着取材してきたエルゴラッソの番記者が、その語り継ぐべき物語を綴ったものだ。
震災から6年、今週末に3.11を迎える。今回の連載では、書籍の著者である板垣晴朗に、6年前からいまに受け継がれるベガルタ仙台の使命についてあらためて記してもらった。
2017年の3月11日に、ユアテックスタジアム仙台ではJ1第3節・仙台vs神戸が開催される。仙台にとっては今季2度目のホームゲーム。開幕から連勝してこの一戦を迎えるにあたり、「まずは、普段われわれが意識しているように、見る人たちの心を動かせるようなサッカーを見せる」と、渡邉晋監督も意気込んでいる。対戦相手は、1995年の阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして在り続ける神戸。東日本大震災発生から6年が経つこの日に、それぞれのチームが、大きな思いを背負って戦う試合となるだろう。
さて、試合当日にはさまざまな人々の感情が交差するであろうこのスタジアムは、6年前はどのような状況にあったのだろうか。
この写真は、2011年の3月26日に、ユアテックスタジアム仙台で撮影されたものである。
ベガルタ仙台のホームスタジアムであるこの場所は、同年3月11日に発生した東日本大震災により、大きな被害を受けた。本来の日程であれば、この場所で同年の3月12日に、仙台のホーム開幕戦である第2節の名古屋戦が開催されるはずだった。大震災の影響で、Jリーグは中断。ベガルタ仙台は活動休止を余儀なくされ、果たしてこの街にフットボールが戻ってくるかどうかも見えない時期だった。
この3月26日は、スタジアムに仙台サポーターが集まった時だった。サポーター有志が発起人となり、全国から寄せられた支援物資の仕分け作業が行われた。全国から様々なクラブのエンブレムが付いたトラックが、バスが、そして段ボール箱が、次々と運ばれてくる。自らも被災者である仙台サポーターたちは、この場所で互いの状況報告をするとともに、同じホームタウンで苦しんでいる人たちのために仕分け作業を行った。
それから約1カ月後の、4月29日。スタジアム関係者の努力によって、震災発生後初めてのホームゲームである、J1第8節が開催されることとなる。
そこに、ベガルタ仙台が、フットボールそのものが、戻ってきた。
このスタジアムをホームとするベガルタ仙台というチームは、活動休止から再び集合し、被災地での復興支援活動とその後の関東キャンプを経て、そして再開試合であるアウェイ川崎F戦の激闘を経て、この街に戻ってきた。
それから6年。彼らはあの時からこのホームで、被災地の“希望の光”となるべく戦い続けている。震災発生後初めて3月11日が試合当日となる今季J1第3節で、彼らはどのような戦いを見せてくれるのだろうか。
あれから6年――時が経ち、選手が入れ替わっても、
このクラブが背負う使命は変わらない。
『在る光』
3.11からのベガルタ仙台
著者:板垣晴朗
定価:本体1,600円+税 判型:四六判 頁数:272頁
2月23日発売
ISBN 978-4-908324-19-2
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(仙台担当 板垣晴朗)
2017/03/10 07:35