菅野孝憲は真っすぐ前を見据えて言った。
「今、自分たち自身に期待しているところ。サポーターも自分たちに期待をしてほしい」
待ちに待った元日決戦を前に、菅野をはじめとする柏の選手たちからは精神面の充実度が伝わってくる。
工藤壮人が出場停止、さらに近藤直也も出場が微妙。ストライカーとセンターバックの要を欠く可能性は高い情勢だ。だが、ここでチャンスを得そうな選手にも熱い決意がある。
「とにかく走ります。いい流れを壊さない。自分の力をフルに出したい」(田中順也)
「出られたら、ボクの人生の中で初めての大舞台。国立でプレーするのは夢だった。今までやってきたことを全て出す。今は良いイメージしかない」(渡部博文)
出場停止が空ける選手もいる。その1人が育成組織生え抜きの茨田陽生だ。4年前のファイナルは「ワンセグで見ていた」という現代っ子も、柏のエンブレムの誇りを胸に、戦う覚悟ができている。
「準決勝に出ていない分、出ていなかった自分たちの力が必要だと思っています。貢献したい気持ちがあるし、それは(準決勝を)上から見ていても感じた。レイソルがやっているサッカーを見て、自分が入ったらこれがやりたいとか、これが良いなとも感じることができました。それを全部ぶつけて、優勝したい」(茨田陽生)
そして何より、柏の絶対キング、レアンドロ・ドミンゲス。彼は、3試合の出場停止がとける。
「彼は出られなかった3週間、めげずに練習して来た」(澤昌克)
黙々と練習して来た日々もこれで終わり。ついに、その成果を出すときが来た。
「みんなが頑張った結果、舞台が整った。準決勝でもナベ(渡部)やヤマ(山中亮輔)がゴールライン上でクリアすることがあったが、自分はボールが外に出ることを祈ることしかできなかった。ああいうチームの姿勢のおかげで、タイトルに近づいていると思う。感謝したいし、今度も良いゲームをチームで見せる。レイソルにとって大事な、天皇杯のタイトル。レイソルに関わる人全てのためにタイトルを取る。その意味は大きい。決勝に行くことが目標ではなく、タイトルを取ることがチームの目標ですから」(レアンドロ)
チームは、準決勝後の2日間を調整に充てた。
「準決勝に勝った瞬間から、うれしさよりも優勝したいという気持ちになっている」(那須大亮)
気合は十分。さあ、あとは年が明け、試合が来るの待つのみ。
(柏担当 田中直希)
2012/12/31 19:59