残るイスはあと一つ――。明日23日(祝・金)13時から、東京・国立競技場でJ1昇格プレーオフ決勝が開催されます。対戦カードは5位・ジェフユナイテッド千葉VS6位・大分トリニータ。レギュラーシーズンで上位の千葉は引き分けでもJ1復帰が決定しますが、対する大分は勝つことでしかJ1への道は拓かれない過酷な“一発勝負”です。
大宮アルディージャには、かつて大分に所属していた選手がいます。2008年のナビスコカップ優勝メンバーでもあるDF深谷友基選手、そして大分ユース出身のMF東慶悟選手などです。全盛期の大分を知る深谷選手は、大分の動向をつぶさにチェックしていたと言います。「今年はJリーグからの借入金を返済してJ1に上がれることを知っていた。ずっとJ2の順位も、大分の成績も気にしていた。大分の順位が上がっていったし、『2位でJ1に上がるのかな?』と思っていたけど、プレーオフに回った。そして『プレーオフを勝ち抜くには難しいのかな…』と思っていたら、準決勝の京都戦で4点も入れて勝った」。
“デカモリシ”こと森島康仁選手の活躍や決勝進出を決めたチームに対して、目を細めた深谷選手は、大分にとって初のビッグタイトルとなった08年のナビスコカップ制覇について触れました。「(プレーオフ決勝の会場である)国立は大分にとっては縁起のいい場所。たくさんお客さんが入った国立でできるということで選手たちのモチベーションも高いでしょうね。大分のサポーターもまたたくさん見に来てくれるんじゃないか。それは選手にとって強みになる。ここまで来たらなんとか勝って上がってほしい」。
大分は09年のJ2降格以来、メンバーも大幅に代わり、いまでは深谷選手とともにプレーした選手も少なくなっています。とはいえ、高松大樹選手や宮沢正史選手らベテラン勢は健在です。「ダイキ(高松選手)とは昨日電話で話した。きっと途中出場になるだろうけど、何かやってくれると思う。ナビスコの決勝でも点を取っているし、ダイキは“持っている”から。宮沢さんは苦労人でひたむきに努力してきた選手。彼らベテラン選手たちが要所で活躍していることもチームとしてうまくいっている証拠なんじゃないか」。
“古巣・大分”のJ1復帰を願う深谷選手は、ある決意を語ってくれました。「同じJ1の舞台で大分と戦いたいし、僕たちもJ1残留を果たして大分と戦えるようにしたい」。
大分がJ2へ降格後、1年間J2でプレーした東選手も大分の勝利を願う一人です。「大分にはユースから育ててもらって感謝している。3年をかけてJ1に復帰できるところまで来ているし、素直に応援したい。一発勝負で難しいけど、なんとかJ1に上がってほしいし、それは大分サポーターの願いでもあると思う」。
そして、まだ自身がユース所属だったころ、トップチームが成し遂げた初の偉業についても触れています。「僕自身はナビスコカップで優勝したあの場面にいなかったので分からないけど、国立は大分の歴史から見れば重要なスタジアム。ナビスコカップを制したときの雰囲気で戦えばいい結果が出ると思う。大分の選手たちが頑張っている姿を見れば僕自身の力にもなる。お互いに頑張れれば」。
かつての“大分戦士”も勝利を願う『運命の一戦』。果たして、彼らの下に届く結末は――。
(大宮担当 郡司聡)
2012/11/22 21:30