FC町田ゼルビアは9日(日)13時から、駒沢陸上競技場で天皇杯2回戦・ギラヴァンツ北九州戦を戦います。現在発売中の『EL GOLAZO』(エルゴラ)では紙幅の関係上、プレビューを掲載できなかったため、今回のブロゴラで掲載します。
過去2年の天皇杯では町田がJFL所属であったため、天皇杯だけがJリーグのクラブと公式戦で戦える唯一のチャンスでした。主将の勝又選手は「相手は同じカテゴリーだし、どんな感じかは未知というか、体験したことがないから分からない」とJリーグクラブとして初めて迎える天皇杯についてのイメージを話しています。そして、背番号7は次のように日本最古のトーナメントである天皇杯へのモチベーションを語っています。「本当はこんな順位(J2で下位)を争うようなチームじゃないということを見せられればいい」。
2回戦の相手は北九州。今季3度目の対戦となりますが、リーグ戦では1分1敗で勝利がありません。直近の対戦である8月5日のJ2第27節での対戦では、開始早々に鈴木崇文選手が左足のミドルシュートを決め先制。後半途中に北九州が退場者を出し、数的優位となりましたが、そのアドバンテージを生かせず終盤に1点を失い、1-1で引き分けています。
数的優位となってから、1点を守り切ろうとする意識が強くなり、全体のラインが後退。相手の攻撃をモロに受ける格好で失点を喫しました。しかし、この試合が一つの教訓となっています。次の千葉戦でも北九州戦と同様に町田がリードを奪う展開となりましたが、リベロの田代真一選手やアンカーの太田康介選手を中心に、全体のラインを高く保つことで相手の攻撃をしのぎ、1-0で勝ち切っています。さらに次の徳島戦でも北九州戦の教訓が生かされ、1-0での連勝を飾りました。「前回と同じようなゲームにはならない」とは田代選手の弁です。
町田と北九州はともにつなぐスタイルを標榜しています。明日は13時開始と、暑さとの戦いを強いられますが、ボールポゼッションから相手を動かし疲労を誘う戦い方もポイントになるでしょう。「北九州はつなぎ過ぎるくらいパスをつないで来るので、回される展開になると結構しんどい。そんなチームを相手に先に1点を取られたらボールを持たれるし、すごく難しくなる。最初の1点を先に取ることがすごく大事」と勝又選手。町田としては先手を奪い、ボールを効果的に動かしながらゲームをコントロールする形に持ち込むことが理想的な展開と言えるでしょう。
天皇杯は負ければ終わりの一発勝負。冒頭の勝又選手のコメントのように、藤田泰成選手も「町田はこういう順位(J2・21位)だけど、いいサッカーをしているなということが天皇杯の成績で広まるかもしれない」と、町田の存在価値を広めようと高いモチベーションで天皇杯に臨みます。
■オズワルド アルディレス監督コメント
――監督はJリーグでは天皇杯やナビスコカップ、イングランドではFAカップやUEFAカップなど多くのカップ戦のタイトルを獲っていますが、チームにとってカップ戦の意味とは?
「私はW杯も獲っていますよ(笑)。当然ながら私はカップ戦を愛している。決勝まで進出してそこで素晴らしい結果を得ることは素晴らしい経験になる。私たちにとっては次のゲームが最初になる。いずれにせよ、次が重要なゲームだ。一番良いのは決勝まで進出することだが、まずは一歩一歩だと思う」(※アルディレス監督は78年W杯アルゼンチン大会で優勝している)
■DF 5 田代 真一選手コメント
「天皇杯は逆にJリーグのクラブとやったほうがいいかもしれない。昨年は山梨学院高と1回戦を戦ってやりにくさはあったけど、Jクラブとの対戦のほうがやりやすい。(13時キックオフと暑い中での試合だが?)ボールを動かして相手を走らせることはウチがやらないといけない。ボールを取ってもあわてないこと、むやみに前に蹴るのではなく、相手より長くボールを持つことも大事」
■FW 19 北井 佑季選手コメント
「北九州はボールポゼッションがうまいチーム。ウチと同じようなスタイルを目指しているし、お互いにどちらがボールを握れるかでゲームの内容が変わってくると思う。天皇杯でも個人としての変化はなく、目の前の試合を戦っていくだけ。リーグ戦を戦うのと変わらない」
ここからは天皇杯2回戦こぼれ話を。写真(1)と(2)は、かつて東海3圏のチームで覇権を争ったプレシーズンマッチ・東海チャンピオンシップの宣伝ポスター。写真のポスターは96年大会のモノで、当時の関係者から監督の元に届けられ、磐田のハンス・オフト監督、名古屋のアーセン・ベンゲル監督(現・アーセナル監督/イングランド)、清水のアルディレス監督(すべて当時)の3者が本物の甲冑姿の“コスプレ”で登場しています。着用には2時間ほどかかったという当時のエピソードについて、笑みを浮かべながら語ってくれました。
写真(3)は北九州戦の準備期間に、丸刈りの新ヘアスタイルで登場した北井選手。紅白戦でゴールを量産するなど、実際のゲームでの活躍を待っているサポーターも少なくないでしょう。果たして、“進化した”北井選手は北九州戦でチームを勝利に導けるでしょうか。ちなみにこの髪型になった理由については、コリン・マーシャル選手が詳しく知っています。
(町田担当 郡司聡)
2012/09/08 23:55