大混戦のリーグ戦も残り10試合。「大一番」と位置付けていた首位・甲府との戦いに敗れた後、天皇杯もはさんで、チームや個々のモチベーション・コントロールが非常に重要になります。天皇杯を敗退すれば、確かに日程的には楽になるのでしょうが、今回はカップ戦とはいえ、連敗はチームの士気に関わる。「やはり勝つことが一番のクスリ。負けていい試合など1つもない」と、田坂監督の指導にも力が入ります。特に前々節の岡山戦と前節の甲府戦で日頃の成果が見えたことで、その手応えのクオリティをさらに高めるため、7日も熱気あふれるトレーニングが行われました。
夏場のピッチコンディションなどに合わせて戦い方を変える部分はありましたが、基本的なチームコンセプトは一貫して変わりません。一戦一戦を戦いながら細かい修正を繰り返し、チームはここまで育ってきました。選手たちに細やかなニュアンスまで伝えるために、スタッフからの発信方法を工夫してみたり、トレーニングメニューや映像の使い方を考えたりと、緻密で丁寧な試行錯誤の繰り返し。日々のトレーニングの成果をいかにゲームで表現させるか。サッカーは相手のあることで、局面での瞬時の判断がものを言いますが、きょうのビルドアップ練習では臨機応変な対応もしばしば見られ、積み重ねることの大切さを実感しました。
6日、急きょ実施したミーティングでは「まだストレートインを諦める状況ではない。全然行ける」と、2位以内に食い込む意志をチーム全員で確認し合いました。ベテランの宮沢正史選手も「こういうプレッシャーを経験するのは初めて。J2降格のときとはまた違う」と語る極限状況の中では、強いメンタリティが要求されます。選手たちが互いに声を掛け合って雰囲気作りに努めるあたりも、いいチームに育った証し。ちょっと足を痛めた選手が無理して紅白戦に参加したがる場面が見られたりもしましたが、その熱い気持ちを大事に、最後の最後で笑えるようにコンディションを整えてもらいたいと思います。
そして、監督がもう1つミーティングで伝えたこと。「今、試合に出ていない選手は、このままで終わっていいのか。誰がここから一踏ん張りできるかだ」。夏の疲労が出てコンディションを落としたり、けがをしたりもしやすい時期、選手層の厚みは何よりの力です。もちろん試合に出ていなくても、日々のトレーニングでも全員の存在が不可欠ですが、シーズンの終わりに、自分がJ1昇格に貢献したという手応えを“試合で”つかむため、心底から奮起を促したいところ。
練習後、ランニング中の村井慎二選手(32歳)を「おじいちゃん」呼ばわりし、広報の古澤さんから「ミヤさんの若さを分けてあげたら」と笑いを取っていた宮沢選手(34歳)。そんなちょっとした和みシーンも作ってくれるキャプテンにけん引され、いい緊張感をもって前向きに、チームは混戦の最終局面へと突入していきます。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/09/08 00:38