うう。
負けましたね。
10年前に続き、J1昇格への道に立ちはだかった「シュナ潤の壁」(http://blogola.jp/p/3213参照)は厚かった。PKでの得点以外は、守護神・シュナイダー潤之介選手の安定のセービングをかいくぐれませんでした。
なにしろ勢いのある横浜FC。開幕から8試合勝ちなしで序盤に三度の最下位を経験しながら右肩上がりに調子を上げ、ついに自動昇格さえ視野に入れた6位へと大躍進です。「今節は試合前のミーティングが必要ないほどいいトレーニングができた」と山口監督が語った通り、選手たちには対大分戦術が浸透しており、それをピッチ上で遂行できる“賢さ”が、このチームにはある気がしました。そのあたりについては10・11日発売の本紙1215号にコラムを書きましたので、ぜひ御覧ください。
まったく、試合運びにおける賢さだとか、したたかさだとかが、いかに大切か。横浜FCと対戦して最も痛感したのはそのことです。この試合は大分にとって、重い意味のあるものでした。官民の経済支援を得て借金返済のめどが立ち、クラブライセンスが交付されて初めてのホームゲーム。ピッチ脇に並ぶ、企業名の入った看板は目に見えて増えていました。広瀬大分県知事と姫野大分銀行頭取が見守る入場口を通り、1万人超の観客が見守るピッチに散った大分の選手たちは、緊張のあまり、立ち上がりから動きが硬く、ミスを連発。そして6分、早くも失点を喫します。
多くの人たちにJ1昇格を支援されている大分には、他のチームとは別の意味でのプレッシャーが重くのしかかる。そのプレッシャーを力に変えて、ここまで戦ってきました。その陰には経験値の高いベテラン選手たちの存在が大きく作用しています。
田坂監督のサッカーを誰よりも理解し、ボランチの相方が変わったりシステムが変わったりしても、さまざまに布陣のかじ取りに腐心してきた、キャプテンの宮沢正史選手。ベンチにいるときも試合の流れを読み、交代しそうな若手メンバーに前もって準備を呼びかけるなど、細やかな気配りを怠りません。長いあいだ大分でプレーし大分を心底愛している高松大樹選手。ピリピリしたムードの練習場に、彼が満面の笑顔でのっそりと姿を現すだけで、安心してトレーニングに励めそうな気がする、器の大きい男です。練習後には石神直哉選手のまわりに、戦術について熱く語る輪ができます。あちこちのチームに仲良しがいて情報通なのは、土岐田洸平選手。独特の雰囲気を醸し出す村井慎二選手や阪田章裕選手の存在も、不思議なスパイスのように効いています。
若い選手たちには、彼らの背中を見ながら、経験を重ねてもらいたいと思います。わたしたちをも含めチームの周辺に立つすべての人が、否が応にも成長してしまいそうな、この状況で。
まあ、一言で言えばいいチームなんです。いいチームなんですよ。(大切なことなので2回言う)
このチームで戦うのも、残り5試合です。
一戦一戦の重みを受け止めながら、みんなで悔いのないプレーを。そしてJ1昇格を勝ち取るのですー。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/10/10 15:02