
澤さんのコパ・アメリカ展望
ーー先ほど話が出たように、コパ・アメリカが開催中です。見ていますか?
「もちろん! 見ていて本当に楽しいです。これだけ、レベルの高い代表の試合を見られるのはうれしいこと」
ーー大会全体を見ていて、どう感じていますか。
「グループリーグの最終戦でチリが5-0でボリビアに勝ったけれど、そのほかの試合で得点差が開いていないことで分かるように、各国間の差はあまりない。たとえばペルーの入ったグループCは、実力的にはブラジルとコロンビアが抜きん出ているとは思うけれど、最終節の前の時点ですべてのチームが1勝1敗。すべて勝ち点3で並んでいました。アルゼンチンのグループだって混戦です。どんでん返しもあるし、アルゼンチンもパラグアイに2-0のリードを保てないんですから。どこが勝つか分からない。そこが見どころですかね」
ーー澤さん的に、注目しているポイントは。
「参加している12チーム中、6チームがアルゼンチン人監督が指揮していることですかね。アルゼンチン、ペルー、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、それにチリ。エクアドル以外は決勝トーナメントに進出しました。パラグアイはあのラモン・ディアスが監督ですし、その息子さんがアシスタントコーチをやっているんですよ。だからアルゼンチンが熱いな、って思います。アルゼンチン代表だって、すごいメンバーでやっている。イグアイン、テベスがベンチなんですから! 控えにもえげつなメンツがいて、それも楽しいポイント。パラグアイ代表のバリオスはアルゼンチンから帰化した選手ですし、メキシコ代表のFWもそう。アルゼンチン人の質の高さがわかりますよね」
ーー注目している国は?
「ペルー以外で推しているのはチリですね。チリが良いチームなのは分かっていたことですが、実は06年にコロネル・ボログネシでホルヘ・サンパオリ監督の下でプレーしているんです。人間性も良い人だし、頑張ってほしいですね。主力選手のビダルは飲酒運転で事故を起こしたしたのに、普通に試合に出ています。日本だったら書類送検されているだろうし、代表から外されているはず。でも国としてコパ・アメリカで優勝したいから、お咎めなし。社会的にはよくないことだけれど、サッカーの権限が高いから普通に試合に出ている。事故った次の日に謝罪会見があったけれど、その後は事故の話はほとんど挙がらない」
ーービダルの件は驚きましたが、サンパオリ監督と一緒にやっていたことがもっと驚きです。
「チリ代表でも、やっていることは06年当時と一緒ですね。前からプレッシャーを掛けて、どんどんハメていく。高校サッカーみたいな感じですよ。うん、(出身である)中央学院高と近いサッカーをしている(笑)。もしかしたら、(中央学院高のある我孫子市の)湖北で試合を見ていたかもね(笑)。そうそう、あの監督、プレーヤーではないんですよ。南米版のモウリーニョ。頭はツルツルでサッカーボールみたいだけど、ボールを蹴ったのは見たことがない。走っているところも見たことがないけど、体はムキムキ。きっと、ジムには通っているんだろうね(笑)。面白い監督です。彼の中で戦術ができあがっているから、何か言われても持論ですべてをねじ伏せる。こういう場合はこうだ! と。オラオラ系監督です。だから、戦術的にも若くてフレッシュな選手が多くないとついていけない。その点、チリは黄金世代と言われる若い世代が中心でいるから、そのスタイルにフィットしている。そうそう、ペルーのチームからチリのチームに移って監督をするときに、『サワ、来てくれないか』と言われたことがありました。でも、当時はシエンシアーノと契約したてで、断ることに。『今度、タイミングが合えば連絡するから』と。その後、チリのウニベルシダ・デ・チリを躍進させて、コパ・スダメリカーナで優勝して、スルガ銀行チャンピオンシップで来日して鹿島とも対戦しました。チリの選手で言えばアレクシス・サンチェスをはじめ、前の選手はフィニッシュもうまい。ほとんどがヨーロッパでプレーしていますよね。決勝トーナメントにも進出したし、期待しています」
ーーペルー代表もいいですよね。
「初戦でブラジルに対して先制をしたけれど、すぐ追い付かれて、後半のロスタイムに逆転ゴールを取られて負けてしまいました。あのまま引き分けていたら、今頃ブラジルが大変なことになっているでしょうね(苦笑)。クラウディオ・ピサロ、ゲレーロ、それにファルファンが健在ですが、彼らの代わりが出てこない。若手が問題を抱えているんですよね。あ、16番のロバトンとは05年のときに一緒にプレーして、ホテルでは同部屋だったこともある」
ーーやはり代表にも知り合いがいましたか…。ほかの国では?
「残念ながらグループリーグを突破できませんでしたが、ベネズエラも良いチームでした。W杯の南米予選では、勝ち点をプレゼントしてくれる都合の良い国でしたが、いまは違う。プロ野球にカブレラがいたように、野球が国民的なスポーツだったけれど、サッカーもレベルアップした。イタリア、スペイン、ドイツでプレーしている選手もいるし、ほとんどが海外でプレーしています。たとえばアランゴはベネズエラ版中村俊輔ですね。良い選手。クラブチームがリベルタドーレス杯でブラジルやアルゼンチンのチームに勝つこともある。国内のレベルも上がっているんです。ブラジルに勝っているコロンビアに、ベネズエラが勝ってしまうんですから。コロンビアはDFから中盤につないで、そこでタメを作って前が動き出すという戦い方だけど、中盤にボールを出させずにロングボールを蹴らせて、それを拾ってショートカウンターを繰り返した。コロンビアは、ベネズエラに対してチャンスというチャンスが作れませんでした」
ーーコロンビアも注目されている国の一つですよね。
「ブラジル戦ではネイマールを抑えきって勝ちました。コロンビア人は強さ、スピードがハンパない。だからネイマールも一人を抜くだけで相当な力を使わされるから、そのあとでカバーされてしまう。彼が相手を抜けなくてショートカウンターを食らうことも多かった。カモにされましたね。ネイマールも相当イライラしたんだと思う。それで、ご存知のとおりコロンビア戦後にレッドカードを受けました。個人的には、ブラジル人がJでプレーするより、コロンビア人を探したほうが良いと思います。名古屋のダニルソンみたいな選手がゴロゴロいるので」
ーーでは最後に、優勝国予想を。
「ペルーと言いたいところだけど、現実を見ると、アルゼンチンかチリかどっちかだと思っています。ここは、チリでいきましょう! 監督のことを知っているし、開催国だし」
オフ期間ということもあり、コパ・アメリカの解説までしていただいた特別版をお送りしました。澤さん。監督解任で揺れるチームの中でも、7月以降も活躍してほしいですね! それでは、次回もお楽しみに!
(BLOGOLA編集部)
2015/06/22 06:29