天皇杯4回戦が近づいてきました。帰国したレヴィー・クルピ監督に代わって指揮を執る小菊昭雄コーチの下、南津守練習場では連日熱のこもった練習が行われています。「選手はモチベーションも高く、取り組んでくれている。感謝するくらい」と小菊コーチも話すように、監督不在や選手の帰国といったマイナス要素を吹き飛ばす「中身の濃い」内容です。チームは、「小菊さんのためにも」といった思いで団結しています。そんな天皇杯に向けた様子については週末のEG本紙で見ていただくとして、今回のブロゴラでは、先日、クラブから契約満了を言い渡された荻野賢次郎選手について書きます。
2010年の入団以来、個性的なキャラクターで報道陣に多くの話題を提供してくれた荻野選手。なかなか披露する機会がなかったので、惜別の情を込めて、ここに“荻野賢次郎伝説”を列挙したいと思います。
(1)2010シーズンのサポーター向け新体制発表会で、ルーキーでありながらレヴィー・クルピ監督と肩を組み、セレッソの応援歌「パワー・アンド・ザ・グローリー」を熱唱。
(2)同じく2010シーズン。当時のキャプテン羽田憲司選手に対して、「僕がキャプテンを支えていきます!」と力強く語るも、「お前に支えてもらわなくても大丈夫だから」と軽くあしらわれる。(その後も何かと羽田選手に絡み、いつの間にか仲良くなる)
(3)2011シーズン夏。清武弘嗣選手と倉田秋選手がクルピ監督に呼ばれ、3人が真剣な話をしているすぐそばで、水風呂(プールに水をためたもの)に漬かり、非常に気持ち良さそうな表情を浮かべる。
(4)入団すぐの杉本健勇選手に早速パシリにされる。(荻野選手が1つ年上)
(5)今季、後藤寛太選手が入団した時はうれしそうだったが、次第に、後藤選手の自分に対する「扱いが悪くなってきた」と不満をもらす。
(6)寮の夕飯に遅れて、「練習で遅くなった」と言っても、寮長さんに信じてもらえない。
(7)アウェイバスツアーで上映する、選手のメッセージビデオのMC役としても活躍。しばらく期間が空いた時、「僕、干されたんですか?」と制作担当者に確認を入れる。(実際は、MC役を村田和哉選手と交互に行っていたため、少々間隔が空いた)
(8)ユース代表の海外合宿から帰国した際、“独自の時差ぼけ解消法”について熱弁をふるう。(内容は忘れました)
(9)海外ではボディーランゲージと持ち前の行動力で、外国人とも会話が成立する。(寮で行われている英会話学習の点数も、一番高い)
(10)練習から引き揚げる時、「いいですか、僕、帰りますよ!」と報道陣に断りを入れる。
まだまだありますが、あんまり書くとアレなので、この辺にしておきます。“愛すべきキャラクター”ということが伝われば幸いです。
最後に、荻野選手のコメントを紹介して締めくくります。
「(契約満了を伝えられた時の気持ちについて)3年間、苦しかったですね。プロの世界に入って、もがいて、やっとこれからかな、という手応えもあったところで、こういう風になったので、正直、悔しいです。でも、いろいろ経験したことを今後に生かしたいし、サッカーは続けるつもりなので、どこかでまた、のし上がって、セレッソを見返したいです。でも、自分にはまだまだ足りない部分も多い。そこをもっと埋めていかないとダメですね。(11日に行われたトライアウトについて)出来は悪くなかったと思います。自分のいい部分も出せました。悪いプレーもあったけど、すぐに切り替えて、失点もしなかった。緊張感をほぐすために後ろから声も出して、自分らしくやれたと思います。今後どうなるか分からないけど、自分の中で悔いはないです。力は出し切りました」
今季は居残りで最後まで後藤選手らとシュート練習に明け暮れることも多かった荻野選手。努力家であり、その成長振りは勝矢寿延スカウトも認めるところ。キム・ジンヒョン選手が帰国したため、天皇杯でも第2 GKとしてベンチ入りが濃厚です。
「最後まで頑張りますよ!」(荻野選手)
(C大阪担当 小田尚史)
2012/12/13 19:25