まずは、東アジア杯優勝の立役者とも言える柿谷。ザッケローニ監督は、あらためて彼を「若くて、才能にあふれている」と高く評価した。ただ、すぐにこう釘も刺した。
「ここで彼の可能性をつぶしてはいけない。あまりプレッシャーをかけるのはよくない。彼にはゆっくりでいいから、成長していってもらいたい。そういう意味ではセレッソやチームの監督(レヴィー・クルピ監督)の方針はとても良いと思う。彼はいま、正しい道を歩んでいる。最近のJリーグでも、少しずつだが常に成長の跡を見せている。だから、今回も代表に選んだ」。
慎重に確実に。柿谷には高みに至ってほしい――。そんな思いが言葉の端々からは感じられた。「あくまでしっかりと成長して、選手として完成形になってくれれば、彼は1列目でも2列目でもプレーできる能力の持ち主だ」とも話していた。
そしてもう一人、ザッケローニ監督が触れたのが前線陣に新たな風を吹き込む存在として期待されている、豊田だ。
柿谷とは違い、残念ながら彼は東アジア杯で得点を挙げることができなかった。それでも、指揮官は豊田の一つひとつのプレーをしっかりと見抜いていた。
「必ずしも得点だけが選考基準ではない。選手個々の特徴をしっかり見極めて、私は選んでいる。韓国で約10日間、豊田のプレーを見てきた。確かにゴールはなかったが、チームメートにスペースを作る動きをしっかりしていたし、チャンスに絡んで得点の可能性を常に感じさせていた。そこを評価した」。
豊田が先発した東アジア杯第2戦の豪州戦。豊田は柔軟なプレーで2アシストを記録し、ゴールに迫るプレーも披露していた。彼のストロングポイントである強さ、高さだけではない、そうした万能さが、指揮官には魅力的に映っていたようだ。
常連組に加わったメンバーについて、ザッケローニ監督は「まずは段階を踏んでチームに馴染んでいってほしい。初めは練習で常連組の選手たちとどうプレーしていくかを見たい」と話していた。ただ、柿谷と豊田の話になった際は「できるだけ2人は試合でも使っていきたい」と明言した。今回、前田遼一、ハーフナー・マイクといった、これまでザックジャパンを支えてきた前線勢がそろって不在。それだけにこのウルグアイ戦、彼らにはいきなり出番を与えられる可能性は十分にあるだろう。
「異なったタイプの選手だけに、それぞれ違ったバリエーションをチームにもたらしてくれると思う」。柿谷と豊田は、韓国で指揮官の心をしっかりとつかむことに成功していたようだ。
(BLOGOLA編集部)
2013/08/09 11:00