およそ10年前にあたる2013年1月6日。旧国立競技場のピッチに奥山政幸と稲葉修土は立っていた。早稲田大と福岡大で争われたインカレ決勝の舞台。奥山と稲葉はともに1年生プレーヤーだった。
なお、稲葉の当時の背番号は、エースNo.の証である「10」。乾真寛監督からの期待の表れとして背負った番号だった。
結果は「早稲田に飲み込まれた」(稲葉)福岡大が1-3で敗戦。稲葉の挑戦は、準優勝に終わった。
またそこから時を遡ること、2年前の2010年度の高校選手権。稲葉は2年次に在籍した立正大淞南高でベスト4に進出し、国立のピッチを初めて踏みしめた。本人にとっては、「夢が叶った瞬間」だった。稲葉が当時のことをこう振り返る。
「高校3年間は国立で試合に出るために(大阪から)島根へ出ました。その結果、国立でプレーできたことは、努力をすれば報われると実感できる出来事でしたし、入場した際には『これが国立かー』と感慨深かったです」
高校時代の恩師、南健司監督(現・総監督)はトリッキーなセットプレーで選手権を沸かせたこともある。セットプレーを重要視する哲学は、町田の黒田剛監督との共通項。「セットプレーに懸ける勝利への執念は似ている」と稲葉は言った。
改修前の国立を高校と大学で体感した稲葉は、新国立のピッチに立つチャンスも叶えようとしている。J2首位攻防戦である東京Vとの『東京クラシック』。仮に出場のチャンスがあれば、「堂々とプレーして勝ちたい」と稲葉は言葉の語気を強めた。
【試合情報】
国立でJ2初開催!!
明治安田生命J2リーグ第25節
7月9日(日)18:00キックオフ
FC町田ゼルビア vs 東京ヴェルディ
国立競技場
https://www.zelvia.co.jp/news/news-237194/
文・写真:郡司聡(エル・ゴラッソ町田担当)
(町田担当 郡司聡)
2023/07/07 20:13